• アイコン1
  • アイコン2
  • アイコン3
  • アイコン4
  • アイコン5
  • アイコン6
  • アイコン7
  • アイコン8
  • アイコン9
  • アイコン10
  • アイコン11
  • アイコン12
  • アイコン13
  • アイコン14
  • アイコン15
  • アイコン16
  • アイコン17
  • アイコン18
  • アイコン19
  • アイコン20
  • アイコン21
  • アイコン22
  • アイコン23
  • アイコン24
  • アイコン25
  • アイコン26
  • アイコン27
  • アイコン28
  • アイコン29
  • アイコン30

アキ (Eno:10)

茶色の髪を三つ編みにして、
黒いリボンで飾り付けた少女。
……そう装っている男だ。

年齢は15歳ほどに見えるか。

瞳は澄んだあおいろをしている。
あなたと目が合えば、きっと、
気恥ずかしそうに視線を泳がせるだろう。

──少女は口を閉ざしている。
──彼は少女として使われていた。
...

名前はアキというようだ。
柚葉さんからスマホを借りている。
カナトから上着を借りている。
スマホは返却した。ちゃんと返せてよかった。

...

──大丈夫、大丈夫、大丈夫、
初めてじゃないだろ、だから、

──足りなかった。
大丈夫、大丈夫。次はもっとうまくやる

──まずいな、と思ったけど。
悪くはない方向に進んでいる気がする。
……とりあえず、今回は。様子見。

──死んだって。ふたり。
死んでほしかった人じゃなかった。
残念だった。結局は頑張らないといけないんだ。
……こんなもの託されたって困るだけなのに。
自分はその子の代わりになんてなれやしないんだ。
どれだけ頑張ったって。それだけは、

──性別をバラしても、拒絶されなくてよかった。
彼らに拒まれたらもうほとんど居場所なんてないから。
……僕が本当に女の子だったら、
もう少しあの子の気持ちに応えてあげられたのかな

──今度はちゃんと、うまくやれた。
刺して、去り際に見たあれの姿。
やりすぎかなってくらい無残になっていた。
……いいんだ、いい。それで。
だって、バケモン相手なんだからさ

──まだ生きてたって?
ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、
ほんとうに、きもちわるい。
バケモンってこんなに、どうしようもなく僕らと違うんだ!
……。
でも、あれはもう、生きる気がないようにも見えて、
そうあって欲しいっていう、願望かもしれないけど。
ロビーのやつらのいいように、ただ生かされてるだけ、なら。
……、きもちわるい。

──どうやら僕たちは棄てられるらしい。
この場所ごと、なかったことにされるらしい。
三人で外に出て、色んなことをしようねっていう夢は叶わないらしい。
そっか。そうなんだ。
どこか、最初のアナウンスを聞いたとき。
うっすら、そんな予感はしていた。
希望なんて最初からなかったんだなって、そう思った。
……。
でも、それでも。
僕たちの心臓はまだ動いていて、
僕たちは息が出来ているから。
まだ、ここに立っているから。

大丈夫、

最期の時まで一緒にいよう。
真っ白な空間だっていい。
自分たちの手で彩っていけばいい。

リボンは捨てた。
髪も切った。
時計の針は動き出した。

まだ進めるから。
僕たちは、まだ終わりじゃないんだ。

...



























──三人でゲームをして遊んだ。
ケーキを分け合ってお祝いをした。

たのしいね。充実した日だ。
しあわせだね、って、そう笑って。

またあの日みたいに、お酒を飲んで騒いでさ。
カナトは下戸だからすぐ酔いつぶれちゃうかもしれないね。
僕はそれよりはマシだけど、慣れてはいないから。
きっと、あんまり強いのを飲まされちゃ耐えられないかな。


そうして、きみの手で終わりを迎えるんだろう。

ハルカ。きみのやさしさで。

*--------------------------------------*

つつじメーカーβ様(一部加筆しています)
https://picrew.me/ja/image_maker/2122621