秋月夕日 (Eno:2)
ふと、座った時に思った
休憩した時に思った。
勿体ない
何がかは分からないから
とりあえず、自分の人生。
まだ歩ける、歩けてしまう。
だから、悲しい事に、生き続けてしまうだろうな。
終わりは無い。
ただ荒廃していく全てを見るだけ。
約束は7日よりも長い時間によって
いつか忘れる。
いつか動かなくなる。
世界に色は無く
また自分自身にも意味は無かった
魔法は使えず
ただ、そこには見続けた景色と自分があった
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薄い水色の服に、黒のベルト、白い靴。身長173cm程、体重は見た目以上に頼りなく、紫の目をした、不健康そうな黒髪の男。
魔法は使えない。
一日目 休息
二日目 休息
三日目 休息
四日目 襲撃(28・リコン)
五日目 休息
六日目 襲撃(35・繋子)
七日目 休息
被襲撃・無し
これで終わり
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「魔法使いは魔法か、心を折った所に攻撃を撃ち込まないと倒せない」
「……魔法で出来るのなら、わざわざ人間をベースに作らずとも、魔道具で良かったのでは?
心を折るだけなら、拷問で良かったのでは?
そう思うのですけど…」
「………魔法使いは法則を無視して動くだろう
あんな奴らの思考なんて普通では読めやしない
拘束してもすぐ魔法で逃げ出す」
「あー…」
「そこで私達は《case◾︎◾︎◾︎》に目を付けた」
「えーっと、魔法使いが魔法使いを殺した、ってやつでしょうか?なんかゲバった方がすっごく絶望して、魔法が使えない状態で直ぐに討伐された…」
「ああ、だからこそ、人間をベースに…
魔法使いを人工的に作るのだよ
同類の顔をしていれば最初は警戒せず、気づいたら心はすり減るだろう?」
「……倫理的にはどうやってんのかマジで分かんないんですよねー」
「人間ベースではある、が、人工的に作ったものだから人間として看做さない、製造物として看做す。これで解決している」
「……あのーそれって、もしかしなくても」
「………仕組みとしては何一つ人間と変わりやしないよ、ただ人工生命として生まれた事が運の尽きだ。
……いや、それだけじゃない。魔法使いも運が悪かった」
「……」
「赤い目の魔法使いが世界を滅ぼすなんて言われているからこうやって討伐しているが、始まりは何も人間と変わりないのだよ。
ただ、突然不老になって、変な力を受け取った、そんな奴だ」
「貴方の意見はあんまり聞く気無かったんですけど…初めて聞きましたね〜…」
「………無関心でいるが、結局の所、私達も、あの命も全て人間であり、化け物である。それを忘れるな」
「……そ、そんなことより今日の配合はどうするんです〜?」
「……前回の個体は威力は出せたが、魔法の出力が安定しなかった。だから、感情部分の配合を調整する。アレは頑固な個体だった。
だからその頑固な部分を実践程度減少させ、楽観的な部分を増やす」
「感情の方ですか〜、じゃ、結構番号増えそうですね〜」
「……」
「あーあ、感情無く魔法を撃てたら楽なのに」
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結局の所、何も知らない人間であったから。
生まれ方が人工的だっただけの人間だから。
四年と一週間と、あと少し。
そんな短い人生だ。