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貪る獣 (Eno:27)

「ってことはさ、助けが来るまで生き延びればいいってことだろぉ~ん?」

身長182cm、体重91kg、オス。
エメラルド色の体毛と、虹色の尾を持つオオカミに近い動物の獣人。
意思疎通の可能なその者の名を、ヒヨワギという。

◆余裕があるときはお気楽指向で、常識も普通の人間と変わらないはず
◇雑食性だが、粘度の高いグルテンを苦手とする。
◆「リワ」と呼称するミサンガのようなものを作るのが好き。
◇ログ公開含む、規約の範囲内でのなにもかもがフリー。

------以下キャラエピローグ(確定ロールを含むため無視して貰って構いません)------

属せなかった。
このような場所に連れてこられる前から、そもそも。
獣人の一社会で狩りや警備をする若者が多い中で、幸運のお守りだからといって物を作ることに若いうちから興じる彼は変わり者だった。
だから、誰かとちゃんとしたコミュニケーションを取ることも多くは無かった。

それが災いしたのか、こんな所に閉じ込められても自ら歩み寄って深く関わろうとしなかった。
種族が違うからと勝手に理由付けていたが、そうではない。
馴染む努力を恐れていた……のだと思う。結局使わなかったナイフを手にしたのもそうだ。

誰かに化け物だと言われて。
誰かに友達だと言われて。
そう言われて無害を演じていた。隠者のごとく隠れていた。

そうして無縁なまま元の世界に帰れるのだと信じていた。
でも結局、脱出できないことを知った。

そして誰かのための柱にもなれないし、傷にもなれない。
誰かを襲わなかったのは、縁もない相手を殺すような獣になれなかったからだ。
誰かに襲われなかったのは、縁もない自分を殺すような人がいなかったからだ。
誰とも深く関わらないことで平穏紛いを手にしていた。

ただ、1人の獣人が属せなかっただけだ。そうして、諦めて朽ちていくのを待つだけのはずだった。





美味しい。美味しいな。

誰かだったものを貪っている。
もちろん、人を襲ったわけではない。
勝手に出てきた缶詰を食らっているのだ。
名前も知らない獣人にこれは弔いだと言われた。

それは誰かの弔いという大義名分を得て、獣に成り下がった。

人の部分で幸運の象徴たるリワを作り、お腹が空けば缶詰を食らう。
冷凍食料室に籠って、それだけを繰り返していた。



7日間を過ぎても同じことをしている。
例えば残った生存者が1人また1人と朽ちていっても、知らぬ間に冷凍食料室に訪れて缶詰になり続けても、獣は繰り返していた。
人が減っても、無縁だったものだから感情も大して湧かなくなっていていた。

美味しい、美味しいな。
お腹が空けばこれが待っている。
もうこれだけが楽しみなのかもしれない。

そうやって、獣は生き永らえる。



もうどれくらいの時間が経ったのだろう。
寒さも当たり前になったけど、当たり前だった缶詰の生産がされなくなった。

そして、尽きてしまった。
どうしよう。どうしよう。



おなかがすいたな。くるしい。また食べたい。

あしを見た。

そうか。



ないふをつかって、いたいけどにくをそぎおとしていく。
それをたべる。

おいしい。おいしい。
でも、たりない。

ひだりうでをみた。







獣だったものはやがて、自分を貪って機能不全と出血多量で死んだ。