ロッカーやソファ、誰もいない受付がある
テレビと、壁の上の方にスピーカーがある
窓はなく、扉も開かないが空調は良い
「自己紹介が盛んだな…」「良い事だ」
ウンウン頷こう。
あずき はケーキナイフを振り回した。
フォルテ は水を飲んだ!ぬっる
「んんぇ〜?シュゾクも必要なの?
えっと……うーん……そうだね……」
スマホぽちぽち……
「イシャリはコウモリだよ!血は吸わないよ!」
「これは夢だ!寝れば目覚めるはずだ!就寝!!!」
キキム は水を飲んだ!あっつ
「わたしははにえる、はにえると申します」
「マスコット協会の者ですが……ああ、名刺が無い……刷り直したばっかりの……」
ポケットも服もないのにゴソゴソ探るしぐさ。何もなかったのでまるっこい肩をすくめた。
「まあ!まあ!まあ!
ご協力すれば良いのね?ご協力すればお役に立てるのね?」
「素敵ね、素敵だわ!」
あずきは猫である。名前はあずき。
今は落ち着かない様子で辺りをきょろきょろ。
成程。あの人間達は天使、あるいはキノコなのか。
「イシャリはイシャリだよ〜っ」
「ねえねえ!あっちにいっぱいショクリョー?あった!おなかすく心配はなさそ〜」
倉庫の方を指す。
「自己紹介の流れかな?ええと、僕は………………」
「……なんだっけ、名前……とりあえず天使っぽいやつで……紅茶飲んでたらここに来たんだぁ。」
「え、えぇ……さっきのお話もよく分かんなかったけど……
出たいなら此処で何かしろ……ってこと……?」
座り込んでぶつぶつとつぶやく
「人が多いというか、人間じゃなさそうな人がやたら多いですね...!?ひとまず自己紹介、私的な礼儀ってものですね」
「ヤペタスです。人間ですよ」
「ほ~ん……おや本当だ。天使が蔓延ってるってことはここは天国かな~なんて」
「自己紹介ね。アタシは【暴食の天使】ガルマシエル。食べ物があったらちょうだいね~」
「ぐすん……」
「……輪っか」
「でもでも、ご同業ぽくはないです……?」
「……おっと、失礼。
ここは落ち着いてまず自己紹介といきましょうかね、ワタクシはコルディス。ただのキノコの魔物です とはいえゾンビ…に近いかもしれませんね。
胞子が出ないのでアナタ方にはうつりません安心してください」
最後の一文を言う際にやたら涙目のように見えたが、気のせいかもしれない。
「見知らぬ空間だが…ここでは死んだりするのだろうか?」
「おお、僕以外にも天使っぽいひとがいるねぇ」
「ふんす…」
気が付けば知らない部屋に知らない人間共。
おまけにねこには小難しい話は分からない。
いつもの姿に戻って昼寝でもこいてやろうと思ったのだが…
「こまった」
「おぉ~アタシ以外にもお人間様やら何やらいっぱい」
「そう慌てなさんな。ここが何かはちょっとアタシにも分からんけど」
「うう、うう〜……」
「ちびっこに飛ばれただけでは飽き足らずこのような試練まで」
「ああ、本当は出られないとかだったらどうしよう」
「やっぱりお先真っ暗です〜……」
ぶつぶつ……。
「異空間!」「閉じ込められてしまったなあ」
「うわっ...やたら人が多いですね」
「結局なんなんですかここ?」
「…チッくそ、扉が開かない。どうなっているんだ!!」
「え?は?胞子出ないんだけど…ウソ…ボクの十八番が…」
「どこですかここぉ〜……」
天使のようなねこのようないきもの。短い手で届かぬ頭を抱えているしぐさ。
「僕一人ではなさそうですね。安心しました」
「おお、僕の他にも人がたくさん……」
ほへ…
「ねー ここどこ」