烏羽 (Eno:6)
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……ねえ、僕ね、本当は怖がりで
どうしようもなく情けないんだ。
だから、きっと君に甘えることしかできない。
頼って、縋って、それでも捨てないでって笑うしか能がないんだもの。
気づいてた?
一度決めてしまった以上、僕はもう戻れないんだよ。
たとえ声が届かなくなっても。
姿が見えなくなっても。
この体が腐り落ちても。
白い烏の羽は、いつも君のもとに落ちている。
僕の気配も、約束も、消せはしない。
『君を一人にさせない』
君の傍にいるって、決めたんだから。
……だからね。
たとえどれだけ離れてしまっても。
忘れてしまっても必ず追いついてみせる。
壊れてでも、形を変えてでも。
何度だって、君の隣に戻るんだ。
それが僕の弱さで。
君への甘えで。
そして呪いなんだろう。
illustration:萌え袖量産計画&自作