袋小路

血を見たことはあるか。

……これは無ェほうが珍しいかもな。

俺はまぁある。何度も吐いた。

俺は生まれつき肺が弱かった。それはそれはもうヤベェくらい弱くて、中坊の終わりまでは殆ど病院で寝たきりみてぇな生活をしていたもんだ。そんで『死神』を見て以降は、じわじわとマシになっていって、今はどうにか自分の脚で歩けるようになった。やっぱ神様ってのはいんのかね。

俺の知ってる血は俺の口か俺の身体に繋がってた管から出るモンのイメージだ。

決して何か誰かに切られて、なンてものじゃあ無ェ。

一日近く経ったはずなのに繰り返された「七日後の『快晴』」、限られた資源、食堂にいる奴らの眼。……停電の間に起きたらしい人傷沙汰。

嫌な予感がする。

救助が来る前に持病でお陀仏は酷ェジョークだし、誰ぞに殺されんのもクソ笑えねェ。

そもそもマジで救けは来るのか?……いや、やめておこう。

……ナイフを買った。あくまで護身用のつもりだ。クソッタレ、空咳が増えた気がする。

俺はまだ、死ぬワケにはいかねェってのに。

だって俺は俺の生の価値を、まだ何も見つけられちゃいねェんだぞ。

袋小路:通り抜けることができない小道。行き止まり。物事が行き詰った状態の事。