●停電後
傍を撫でる風切り音。鼻につく血の臭い。嗅ぎ慣れた臭い。
負傷無し。負傷者有り。死傷者2つ。
└【霊安室】を指定。目印に扉へ痕を記した。
以降死者が出る度に其処へ運び込むものとする。許容限界を超える場合は増設しよう。
死者は何も話さない。ソレは生者のみの特権。
●喫煙所
此処から本当に出られるのか。そんな思考が過ぎるのも無理はない。
何をどう考えた所で、現時点ではそれは全て憶測に過ぎないのだから。
どうせ知略を活かしたところで、ゲームマスターが盤上をひっくり返せば元の木阿弥。
故にこそ、重要なのは"決断"だ。己の意志がままに、悔いの無い選択を。
●"スケッチブックとクレヨン"
仕事の後、キッチンの清掃に入った。
スベリの手伝いもあり、決して元通りとは行かないがマシにはなっただろう。
そうこうしていれば、物言わぬ少女が1人。
ジェスチャーにて、清掃に協力してもらった。
└その給金として、筆記具を彼女へと授与。食料品よりも意思疎通の手段が重要だろう。
その折、彼女より を受けた。悩ましい事だったろう。けれども、また出会える者が多ければいいと思う。
●追記
───蘇生薬の効果を確認。
明らかに死んでいた者が平然と動いている。生きている。
知人友人であれば嬉しいことだろうか。
そうでない他人からしてみれば?……明言しないでおく。
現時点、副作用に関しては不明。記憶の混濁に関する可能性は否定できない。
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雨は降り止まない。初めての出勤日もあんな豪雨の中だった。
酷く気が重かった。けれど、それも仕方がない。周りの大人達は皆同じだ。
そんな中でも、私は私として生きたかった。
だから、そう。だから、そう。
私は私として、私らしく生きるために、その扉を選んだんだ。
それがどんなに酷い物でも、それしか知らぬ者からすれば渡りに船なのだから。