大学のサークル選びは慎重に、なんてよく聞く話だ。
法に触れる活動をしているサークルも珍しくない。
夏休みに、上級生の借りるアパートで飲み会が開かれた。
その日上級生達はいつもの紙煙草ではなく、葉巻を吸っていた。
甘い、煙の匂い。
葉巻ですか、と彼らに問えば肯定が返って来た。手作りの葉巻だと言う。
違法な物だとすぐ察しがついた。
しかし、それよりも。
同学年の友人が、当然のように吸っていた事の方に驚いた。
彼はやっとできた友人だった。
共通の話題もあり、価値観も近しく、話していて心地良い相手だった。
甘い煙を吸う彼の横顔が、別人に見える。
仲間だと思っていたのは、同等の存在だと思っていたのは、自分だけだったのだ。
自分の人生に良い人間など現れる訳がない。
皆等しく人並みに屑で、人並みに愚かだ。
そしてきっとそれは、俺も同じ。
多くを気付かされ、自分が独りであると自覚した。
失望と落胆と諦念が、次の行動を決めていく。
一本くださいと彼らに言えば、笑顔で真新しい葉巻が差し出された。
火を灯す。
一服、二服、三服。
吸っていく度に、胸の内が冷えていく心地がする。
俺の人生に期待した、俺が馬鹿だった。