ひとつの命とひきかえに

見下ろした死体のひとつ。

それは晴れた空の色。いまいちばん、心から焦がれるもの。

それはかたち。人らしさ、弱さ、僕と同じく混ざりものの証の羽。

それは偶然。ただそこにあったから。

理由はなんだってよかった。

ひとつの命を弄んだ。

元より七日を生きるつもりなんて、ない。

生きていることに否を突きつけられたなら尚更。

この命、誰かの代わりになれるなら。

ならない手はなかった。

人が生き返るなんてこと、一時の夢でなければいいけど。

それからすこしあと。

夜草の言葉。血に混ざる毒――墨に変わる身体。

虹を作るいのちあこがれと似ているな、と思ったから。

励ますこと、何も言えなかった。

今はもう醜く固まった、ただの赤黒。

水に流されて溶ける絵の具にじいろ

縫い付けられた耳に、尻尾。

目に宿した星はただのコンタクトレンズ。

この身に前も後もない、なんて嘘

ただ過去を捨てただけ。未来のあこがれに手を伸ばしただけ。

雨を連れ去り、月を追いかけ、虹となって消える星屑アルカンシエル

誰に対しても平等に輝く綺羅星。そうありたかった。

だから髪に絵の具を塗りたくり、服を染めて、尾を縫った。

ただの人として死にたくはなかった。

どうせなら青空の下、虹の向こう側に消える影になりたかった。

だから命を捨てること、なんて簡単に決断できた。

この命が誰かの希望になるのなら。

そうなって欲しい。