"天使"の話をしよう。
私の天使、私の妹の名は『美咲』。
美しく咲く花のような愛らしい娘に育つように。
父と母、そして私が考えて贈った名前。
名前の通り、美咲は美しく愛らしく。
『笑子』と名付けられた私よりもずっと。
笑顔の似合う子に育った。
多少、そそっかしいところはあったけれど。
しゅんと項垂れて、素直に「ごめんなさい」と言われたら、誰だって美咲を許した。
私もそう。
この世のあらゆる困難や苦痛は、彼女には無縁であるように。
姉としてよく遊び、助け、導いてきた。
そう思っていた。
あの男がやって来るまでは。
大切なものは守り続けられると、そう信じていたの。