【0-1.お嬢様は北の国】
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⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は、北国イグノシアの貴族の娘だ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎家の2番目の子。上には兄がひとり、いた。
イグノシアは、南の帝国と山脈で隔てられた国。国土こそ広いけれど、住むのに難がある土地が多い。だから、貴族と言えども住んでいる場所次第では、貧しいこともあるのである。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は、いつも言われていた。
「家を継ぐのは、長男のアルフィニだ。お前は家の為にも、近隣の貴族に嫁いで貰わねばならない」
「…………はい、お父さま」
……なんて。
しおらしく従えば良かったのでしょうが。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は親に反発した。好きでもない人間と結婚だなんてごめんだと。あたしはあたしのやりたいように生きるのだと。
ワガママを言ったら両親は困った顔をした。
知ったこっちゃないわ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は両親が気に食わなかった。
家の事情は知っている。自分の役割だって知っている。みんな、何かを我慢しながら家の為に生きている。知っている、知っているけどさ。
お父さまもお母さまも、身体が弱い跡継ぎの兄ばかり見ていて。自分のことなんて見てくれないくせに、自分には「家の為に嫁げ」なんて言うのだ。
馬鹿みたいでしょ。
そんな風に生きてきたから、
負の感情は、募って、凝って、渦を巻いて。
だから家を飛び出したんだ。
家を出たから名前なんて要らない。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎はロィナになった。
“⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”なんて居なくなった。
「あたしは、“価値”が欲しいの」
「あたしを見て。見て。
見ろ!!!!!」
そして。
抱いた想いが破裂する前に、
魔法の鏡に出会ったのだ。
それが、全ての始まりだった。