場が混沌としてきたと感じる。
元から用意されてた物とはいえ、みんなが静かにする事を選べば死人は出ないし、
アナウンスの通りなら余裕すら持って出れたはず。
なのに個室の一つは霊安室になってるし、悪ぶった人間達が殺意と敵意を撒いている。
自分は残念ながらそっち側じゃないから居心地も悪いし、そっち側にはなりたくもない。
メイドの2人、ダリアさんとスベリさんの名前を教えて貰った。
正確には自己紹介ではなかったけど、ここに来てから仲が良さそうな人達の事は、
勝手に気にしてるだけだけど、どっちも嬉しそうな姿は自分が正気を保つのにも少なからず繋がってると思う。
それと同時に、人外…天使とそれと一緒に居た人間…と言っていいか分からないけど、何の前触れも無く天使が消えるのを見てしまった。
この場所はおかしいとは思ってたけど、自分の想像以上なのかもしれない。
頼ってる人や信頼してる人が消えた時、自分ならどう思うかなんて考えなくても分かるから少なからず同情の気持ちも沸いてしまった。
だから何も言えなかったし、代わりに調べれる事だけ調べて、他に被害が出ない様にこの事を伝えたい人に可能な限り伝えた。
私は……ブランシュが消えてしまったり、取り返しのつかない事になったらその時どうするんだろう。
………分からないし、分かりたくも無い。
ただ、自分もブランシュにも、他に大事な人が居る人達にもそんな気持ちだけは味わってほしくない。
ただそれだけだと思う。
そういえば藍さんの姿を見なかった。
モニターから生きてるのは確かだけど少し心配だ。
口が悪いせいでやたら襲われてたみたいだし、モニターを見た限り資源も多い。
誰よりも正直に生存欲をアピールしてただけなのに酷い話だ。
自分も信用はされてないと思う、それでも敵になりたくないし、なるつもりもない。
日に日に安全というモノが擦り減ってる、アナウンスは信用してない。
どうせ死ぬなら……私はブランシュの傍がいいよ、もう独りには戻れない。
仮説:事故で自分がこんな場所に、漫画か何かみたいに飛ばされたとしたら?
帰れても多分ぐちゃぐちゃの『自分だった物』に戻って終わりなんじゃないだろうか?
だからと言ってここから出れなくて良いとは言わない。
ブランシュには帰る場所があるから、気持ちと矛盾するけど帰してあげたい。
でもそれまでは…貴女を感じさせて。それが私の我儘でも。