天使とその片割れと話していた際、天使が落下していったのだ。

落下が何を指すのか。十分に理解した。

片割れは酷く悲しんでいた。危うく爪が無くなるところであった。心配だ。

天使よ。おまえは生きているのか?歌声が聞こえなくなると寂しさを感じるものだな。

クドウを殺した犯人が判明した。神父だ。正直、怒りのまま殴り殺すこともできたかもしれん。

しかしグロッホはそのようなことを望んでいない。国と戦争以外で殺す行為は、もうしないと誓った。

神父は「希死念慮を持つ者を活かしておくなど、冒頭である」というようなことを話していた。少々倫理観が危うい気がする。

話し合って解決できる精神では無さそうだ。危険人物なのは変わりない。警戒を怠るな、マクベスよ。

クドウ、そしてクドウの腹に宿した子よ。天国で安らかに眠るのだ。

ロィナが言うには、多くの殺人鬼がいるらしい。ナイフが安く買えるため、気軽に襲うものがいるのだろう。

正直に言うと恐怖と呆れで仕方がない。おれは王であるが、諭すことなど不可能。神父の件もあり、襲撃者の精神はほとんどイカれているだろう。ロィナを改心できたのは偶然だと思ったほうが良い。

血と死体を見るのはうんざりだ。戦場と大差ない。

最近、グロッホが近くいると感じる。どこにいるのだ?晴れた先にいるのだろうか、それとも下に……。

ーーここから過去の話です。長いです。ーー

「……マクベタッド?深夜なのに、どうしてここにいるのです?」

ガロッホ。おれは、おれは……。

「…………あの方達を殺したことに罪悪を感じているのですか?」

……あぁ。

「貴方が王座に就くには、殺せざるを得なかったのでしょう?」

殺す以外にも方法があったはずだ!ダンカン、おれに楯突く者、王座に就きそうな者……全員を殺してしまった。悪魔とかわりないのだ!王の権利などない。

「しかし、貴方が王になってから民は喜んでいますよ。政治は順調であると。貴方が王になって良かった、と。」

なぜ喜べるのだ!おまえも、民衆も!あの時のことを今でも夢に見る。手は血の汚れが落ちないように思える。おれは人殺しと変わりない!

「……マクベタッド。では、誓いましょう。」

ガロッホ、おまえ、何を。何故ナイフでおまえの手を切るのだ。

血塗られた手がおれの両手を優しく握る。

「もうこれ以上、国や戦争以外で人殺しをしないと、誓ってください。」

……誓って何になる。過去は消えん。

「貴方のおっしゃる通りです。しかし、過ちを認めることはできますよ。次が起きないように、あなたが暴走しないように、願いましょう。」

……わかった。

汚れた手が、おまえの血で上書きされる。少し暖かさを感じる。

おまえは何故人殺しに対して慈しめるのだ。愛せるのだ。

何故笑える。何故容易く手を切れる。

「占いでも、あなたの政治は長く続くという良い兆しが見えました。あなたこそ、このスコットランド国王に相応しいのですよ。」

……。

今、愛を感じて解った。

おまえのように優しくなりたい。極悪非道の者にでも手を差し伸べるくらい。善性を持ちたい。おまえになりたい。いや、なろう。

ガロッホ。

「なんでしょうか?」

おれはもう、権利や私利私欲のために殺さないと誓う。

「……えぇ。」

そして、おれは地獄に堕ちよう。おれは殺した者達の分、全ての苦痛を受け入れるべき存在なのだ。