『――ローゼン神父』
『冬の神の枢機卿よ。お前の活躍は耳に聞いている』
『よくやった。……これからも教えに歩むとよい』
「ええ、勿論でございます、教皇様」
「必ずや、皆に冬の神の素晴らしさを説きましょう」
教えを歩んで、どれくらい経ちましたでしょうか。
今では、すっかり教団の幹部となってしまいました。
別にいいのです。
私には、それしかないのですから。
――この教えを信じ抜き、使命を果たすことを。
『にしても、ローゼン神父様は素晴らしい』
『よくもあの大胆な布教、そして救いが出来るものです』
「――ふふ、褒めていただきまして光栄です」
「ですが、私には身に余る言葉でございます」
「私には、信託により、行動に移してるだけでございますから」
……本当に。
教皇様も、皆様も。
私を理解など、できませんね。
冬の神のみ教えなど。
一種のまやかしに過ぎないのです。
本当に信じているのは、ただ一つ。
その行動が、誰かにとっての生きる希望となりえる事。
その為に、私は動いているのです。
――ですから。
この教えも、利用しているだけにすぎません。
私がこの立場で、好きにさせていただいてるのは好都合ですが。
信託などもありません。
渡された聖書も、皆様は大事な物なので
信仰が無い者には見えないように、白いだけで
我々には視えている、と口々に言いますが。
皆、洗脳されてそうだと認識されているのでしょう。
……なにせ、教皇様の洗脳は強いですから。
私の信仰も、忠誠心も、きっと、完全には、とは言い切れませんが。
少しは、洗脳されてはいるでしょう。
聖書は、初めから書かれていないのです。
私含む皆様が語るそれに、惑わされているのです。
……ですが。
それで、いいのです。
それで、この教えに結ばれて。
救いを、もたらすことができるのであれば。
私はそれでよいのですから。
ですので。
私の罪は消えません。
恨みも、憎しみも。全て、全て。
私だけが背負えれば、それでいいのです。
私だけが、抱えていくのです。
――それが、私の『信仰』なのです。
それを、誰にも。
穢すことは許しません。
私は、教団などではなく。
冬の神そのものに、忠誠を誓っているのですから。
全てを終わらせる、その死の化身に。
その為ならば、何だってしましょう。
それが、きっと神様の為になりえるのですから。
*-*-*
……ああ、本当に。
最後まで、悟らせることなく終われそうで光栄でございます。
もう少しこの部屋の結末を見届けたかったのは山々ではございますが。
引き際、というものがあるのでしょうね。
狂信者は最後まで生きられない運命なのですから。
工藤様に言われた言葉もごもっともです。
天使様のお気遣いは、私には痛い程でした。
ジャック様には、無理強いをさせてしまった事を今も悔やんでいます。
――ですので、ええ。
正しい事は出来ましたでしょうか、と終わり際に言うつもりではあったのですが。
訂正しましょう。
私は常に間違えたまま、地獄に落ちるのです。
まだ生きてる皆様方は、きっとそのうち外に出れるのでしょう。
それで、いいのです。
生きる希望がある方は、私の救いなど不要でしょうから。
どうか、皆様方。
生きてくださいませ、最後まで。
――そして、もし、希望を失い、罪を犯したのであれば。
私は赦しましょう。
赦して、差し上げましょう。
その、うえで。
皆様に、救いがありますように。
地獄で、お待ちしております、皆様。