雨が降っている。

 一度もナイフを持たずに済んだのは幸福だったか。

 一度も警戒を解かず、他人を信用しない。ただ摩耗するだけの日々。されど、人を殺す覚悟も襲われる恐怖も御免だ。

 雨が降っている。

 資源を奪って、奪って、奪った。食堂にある共用棚から何度も、何度も、何度も。

 周りに怪我人が沢山いて、資源が足りないと嘆いて、死人が出て生き返らせようと呼び掛ける人を横目に、タバコ代と言って資源を取った。

 雨が降っている。

 全部無駄だった。残ってるのは、臆病と周りからの白い目だけ。

 生き残る意味なんてなかった。薄っすらと感じてた死が正しかった。

 雨が降っている。

「そんなに僕の事が憎かったの?」

 雨が降っている。

「学校抜け出してゲーセン通いしてたのは君だったし、それをわざわざ僕が付き添う必要なんて無かったじゃん」

「やけに大人から目を付けられるなら、行くのを止めれば良かったじゃん」

「幼馴染の僕を勝手に使おうとするな。所詮は同い年の近所だろ」

「毎度手を繋ごうとするの、キモかったんだよ」

「お前のせいを、僕のせいにするな」

 雨が降っている。

 ドブ川よりは、綺麗かな。