師走

氷雨の降り注ぐ夜のことでした。

二度目は体感早くに事を済ませました。

少し慣れた気すらしたのも、嫌な心地。

もう、居らんなかった。

恨めしいような目付きが怖かった。

だって、甚だ奇妙な話ではありませんか。

あたし、愛されてる筈なのに。皆に好かれる筈なのに。

目に付いた番傘握り締め、草鞋を履いた足で逃避行に駆け出しました。

夜の闇は酷く冷たくて、指先から悴んで感覚がわからなくなります。

これってやっぱり夢なんでしょう。全部、おかしいんだもの。

そうだ。夢から醒めて王子様を探しにいきましょう。

あたしを可愛いだけの女に戻してくれる王子様を。

終にあぶくになったって構いません。

隧道は間近。

沢遊びが好きでした。

沢に揺蕩えば海へ続くと聞きます。

未だ見たことのない海を臨んでみたい。

潮風の薫る白い街を棲家にしてみたい。

汽車に揺られて遠くまで行ってみたい。

溺れるような恋をして、嘘のあたしを忘れたかった。

未だ見ぬあなたと幸いになりたい。

愛を知りたいあたし、あなたを愛したかったの