猫は雨が嫌いです。
嫌いでした
毛は濡れて
湿っていて
寒くって
いいことなんて、ほとんどありませんでしたから
『生きたい』なんてのは
猫の思い込みと、わがままでした
猫は正直、ここから出られても
直ぐに死ぬと思っていましたから
「せめてあの人達だけでも」
なんてのは、無駄なことでしたね
雨が降る
最後に、沢山話して
沢山撫でられて
沢山、大切な人と居れて
猫は久しぶりに
幸せだって、思えましたから!
「……欲を言うなら、みんなで
平和に生きてみたかったものですが
「そんなことを今更考えても、ですね」
雨は降る
雨は降っています
止むことを知らぬ雨は
"私達"の上から
酸性雨は今も空から
これだけ降った後の虹は
それはもう、うんと大きくって
とっても、綺麗なんでしょう
猫の大切な人はいつも
雨と一緒に消えていきましたから
でも今度は、猫も一緒です
……猫は、目が良いはずなのに
どうしてか、視界がボヤけていました
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私は猫である。
なんの力もない、ただの猫
白い毛並みをした、ただの猫
あの人から貰ったマフラーには
名前が縫われていた
私は猫である。
名は────