止んだ

 

血が流れるなら、黒かったんでしょう。

彼女の雨のように。

涙は流さないんでしょう。

ばけものですから。

そういうことになった。

そういうことになっている。

でも、知らないまま死んでったのだ。

彼女もきみも。

 

食人だってできたはずの命。

今ここで味わえる一番の馳走。

かくあるべしと定義された名残。

何度もしてきた食事の仕方、忘れちまったのかい。

それも、気付かず死んでったのだ。

食品サンプルを惨めに舐めしゃぶって。

 

 

この空間で。

異常とされたもの。

削ぎ落とされた中でも。

これは、人ではないのだと。

誰も彼も。

気付きやしなかった。

知る由もなかった。

あーあ。

 

空になったからだを埋めるには。

何もかもが足りちゃいない。

色付いたぐらいで。

輪郭縁取られたぐらいで。

内側ぽっかり空いたまま。

今覗いたなら黒かったろうね。

だから何だって話だ。

何にも変わりゃしないのに。

あーあ。

 

 

延々繰り返すはずだった。

永遠飢えに喘ぐはずだった。

終わりは来ない。

雨は止まない。

 

はずだった。

 

知らないまま逝った。

なっちゃいないね。

 

 

ああ。

それでいうと、傘だって手放せたはずだった。

檻の鍵開いてんのに気付かない獣。

だぁれも出られないなんて、言わなかったろう。

というより、自分自身で選んだくせ。

 

相応しい末路だったはずだったのだった。

捻じ曲げられちまった。

書き換えられた。

終わりが来た。

傘を手放さなかった。

手放そうともしなかった。

 

あーあ。