おうた

はじめてそのおうたをきいたとき、ぼくはなんとなくかっこいいな~っておもった。

つよそうなどらごんさんのおうただとおもったから。

でもどらごんさんはいないみたい。

ことばあそびのおうたなんだよって、おとうさんがゆっていた。

初めてその歌詞の意味を知った時、僕はなんとなく怖い唄だと感じた。

『出られるのなら出て行くけれど、出られないから出て行かないよ』

ただの方言と音韻を掛け合わせた言葉遊びのはずなのに。

インクの染みにも意味を見出すのが人間って生き物なんだよと、いつの日か父さんが言っていた。

あぁ、もしも。

今になって、こんな思い出に意味をもう一度見出すのならば。

これはきっと、とても優しい救いの唄。

帰れぬ場所への思いをのせた、とおいとおいふるさとのうた。

こーん、こん。

……こーん、こん。

…………こーん……こん。