【記録:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の惨劇】
イグノシア王国、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎領。
5年前に、惨劇があったらしい。
季節は冬。冬の大祭の準備期間の頃のことである。
長男アルフィニの留守中に押し入った強盗が、領主夫妻とその娘、執事やメイドら十数名を皆殺しにした。その後に遺体を磔にした上で派手に飾り立てたそれは、イグノシア王国に残る有名な猟奇殺人事件として知られる。
屋敷の金品や家宝の多くは持ち去られていた。
この事件の犯人は未だ、突き止められていない。
偶然、外出していた跡継ぎアルフィニとその従者が惨劇の第一発見者となり、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎家の2人しかいない生存者となった。
イグノシア王国で謎の猟奇殺人事件はその後も数件は続いており、どの被害者も猟奇的な方法で殺されていたことから同一犯による犯行と見られ、捜査は継続中である。
◇
【その後の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎領】
領主アルフィニの多大なる努力によって再建された。
元より善政を敷いている領土である為か、民の支持も大きかったことが再建の大きな要因とされる。
領主アルフィニは哀しみこそすれど、犯人への復讐を望んではいないようだ。
◇
【会話録:領主アルフィニ】
「…………このような惨劇があったようですが」
「私は、犯人を恨まないと言っておくよ」
「そんな惨劇を経て恨みを抱かないとは、何故ですか?」
「怒りよりも哀しみの方が強いからさ。正体が分からない犯人をずっと恨んでいても……建設的ではない。我が⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎領は復興の最中なのだから、ね」
「……領主様は、お強いのですね」
(さあね、と領主は返す)
(それに、と続けた)
「…………知らない方が良い真実も、世の中にはあると思っているんだよ」
「これはその“知らない方が良い真実”だ」
「私の勘にしか過ぎないけれど」
「犯人は、もしかして────」
唯一、遺体の見つからなかった人物がいる。
遺品は落ちていたのに、遺体だけが何処にもなかった。
(記録終了)