目が覚めたら見知らぬ場所にいるということを、実際に体験できる人は早々居ない。私の人生も往々にしてつまらないものなのだから、そんな特異な事は起きないだろうと考えていた。いや、実際、考えもしなかった。考える必要すらなかった。幼心に抱えた夢想やもしもを、私はこの歳まで抱えられなかった。それなのに私は、今この場所にいる。
雨音の止まない世界に居たのは、個性的な、様々な人。今日触れ合ったのは比較的明るい方が多かった。特段、ラララさんとタチヤマさんはそうだろう。良い人だ。少なからず、今の私はそう思う。ロビーで少し話したあと、食堂(実のところはただの堂らしい)でパーティーをしたことはいい思い出になりそうだ。エア乾杯、いい響き。
七日後には出られるらしい。それならば新しい出会いに、素敵なことを添えて。平凡な人生でも、楽しめる限り楽しまなければ損である。私達にはそれが出来る。だからこそ、追われていないうちは勿体ないことをする必要はないのだ。
雨は好きだ。今も尚、雨音が聞こえる。私は雨が好き。流石に少し、辟易するけれど、こういうのも悪くはないと思う。
レイニー。雨。私は雨が好き。雨音が好き。私は、傘をさすのもささないもの好きだった。雨音は止まない、聞こえる。ぽつぽつと。しとしとと。私は雨が好き。好きな、はずだ。