ロッカーやソファ、誰もいない受付がある
テレビと、壁の上の方にスピーカーがある
窓はなく、扉も開かないが空調は良い
「なんや、アヒルのボクは他の世界行くんか」
「そのへんは神チャン次第だぜ。
俺は帰ってから今回のことを報告するしかできねえから、現地で期待しといてくれよな」
「おや、大変だ。シーツつかう?」
なんか湿ってる人がいる。帰るまでに乾いた方がいいだろう。
眠る時に借りていたシーツを壁際から取ってきて差し出そうとする……
アザレア は「\Pi/」ボタンを押した!
「水あめ、食料、ナイフなんかはわざわざ持って帰る必要なく~」
「缶詰、ゼリー……うわ磯臭い。ぜったいゲテモノですよこれ」
「謎のボタン~、……なにこれ。押しちゃお」
持ち帰るものは本当にデスタロットでいいのか本人も不安になったらしい。
もたもたと所持品を並べ、吟味し始める……もた。
「わわー。無事に帰れることを祈っといてくださいね天使様」
「そうだな……あんまり危ないのは危ないし」
一つか……と考え込む。放送に気を取られている間に犬はどこかへ行ってしまったようだ……。
「おー もうみんな帰れるのか。
俺はご帰宅のお天使様だが今回なんにもできねえから
各自事故らないようがんばってくれよな」
「出られるのか……よかった……頭がおかしくなるかと……」
デスタロットを持ち帰ろうとしてる人のことは、そんなに必要か??とばかりにちょっとだけそっちの方を見た……
ぴんぽんぱんぽん…
「一つだけかあ~~~~~」
「デスタロットと『悪なる毒瘴』アマンタ・ヴィローサで迷っちゃうな……」
もっと迷うもんあるだろ。
「ね、みんな何持ってかえります?」
『……あ、あと、ここに来たことで壊れた機器の弁償は出来かねますからね!そもそもここ来ること自体事故ですから!』
『まあ、そういうわけで』
『だいたい二時間後!それまでに準備を済ませてくださいね!』
「少し絵の具を流すだけのつもりだったんだが……」
だいぶうっかり
「ははーん? ネクサスさんの望みのほうは心配なさそうで何よりだ」
『あと……この空間で入手したアイテムは一つだけ持ち帰帰りを試みても大丈夫です』
『確実に持って帰れるかは別の話ですが……』
「……急だな」
帰れる。2時間後に。
『それと、なるべく戻りたい場所の景色はちょっとでも頭に浮かべといてくだいね。雑でもいいです。』
『あとあと、転送の時にはほかの人に触れてないようにしてくださいね!転送先事故りかねないので!』
『手つないだりしてたら一緒の場所に飛ばされちゃうので…』
「おや……服脱ぐ前にシャワーを出しちゃったかんじか」
わんぱくな感じでなくうっかりなかんじだったらしい。かわいそうに。
「お、帰れるみたいですね……デスタロットは持って帰れるのかな。だめかな」
気に入ったのか????
おっと ずるをしていたのがバレたようだな……
『ワウ!』
「このおおかみさんたちつれかえっていいかなぁ!?」
『ワウ!』
『ですので、そろそろ買えるための準備をしてくださいね。』
『今から約二時間後、あなた達を転送します』
『忘れ物が無いようにお願いしますね。取りに戻れないので……』
「いや……間違えてシャワーを……。
服のまま泳いだわけではない……」
ちょっと放送に気を取られながら、頑張って空調で服を乾かしている……
「ご無事でなにより……」
「お、……」 放送が始まった。
「はーい」 一応返事しとく。聞こえないだろうけど
『DREAMからお知らせします』
『ええっと、Pointが十分量に達していますので、そろそろ貴方達をお返しできるとお伝えします!』
『聞こえてる?聞こえてなかったら返事……はこっちからわかんないや』
『……ごほん』
「おや? 銀髪のお兄さん……なんかびちょびちょでは」
「プールで遊んできた感じです? 着衣のまま」
意外とわんぱくなのかな……とちょっとほほえましく思う。にこ……。
『あーー、あーー……マイクテスト』
『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』
「まだいるぅ!!!!!!」
べっしょべしょにされた。
『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』
『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』 「ぜはー……ぜはー……」
「イシャリはだいじょうぶなんだよ~……」
狼の塊から死にかけで出てきた。ほぼ窒息ダメージですね。 『ワウ!』 『ワウ!』 『ワウ!』
また犬が吠えてるのにちょっとしかめ面をしながら、わりとびしょびしょのままぼんやり座って聞き耳を立てている……ぼんやり