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記録曰く“何も起こらなかった”時間であるそうなのだが、まあ。これだけ刻まれていれば1つ2つ増えたところでよく分からないというのも事実だ。
少なくとも苦しんでいるようには見えないだろうな。布を剥いだとしても無反応だろう。まだ息はある。
「ただ~資源を募って復活薬を用いる、ということ自体は考慮に入れてよいと思います。
生きる意思がありまくりだった人が死んでしまった場合等ですね。
私天使、死は過剰に恐るるものではないとの信仰ですが、生きたい方は生きるのがよいと思うので。」
うすくなったひとにも きづいて ちゃんと てを ふりました
……おみずあそび ここのなら たのしいの かしら?
そう おもいました。
「元気は、大事。」
言い聞かせるように呟く。
部屋の隅。いつのまにかゆる……と存在していた。
派手な水遊び……そうやって言葉を濁すってことは物騒な方なのかなぁ……
「蘇生薬……効果のほどは確かだったようですが、
みなさまそれぞれ事情がありますから……
まあ、簡単にはいかないでしょうね~…」
「そ~~うです!元気いっぱいで困っちゃいます」
みんなあれくらい元気なら……いっそよかったのかも?
「派手な水遊びですかあ…………」
事件の隠喩であるパターンと、本当に派手な水遊びのパターンを想像した。ほわんほわんほわん……
派手な水遊び、との説明を聞いてニコニコした。顔ないけど。
「ふふ。元気いっぱいですね」
「みんなそうならいいのに……」ダメだと思う。内情は。
「そっかあ……」しゅん。
「まぁそうですね。何度も死にたくはないもの」
納得。
天使様も、こうした相談に関しては頼りになるのだなと実感した。失礼。
「来ておられませんか~~。」
今居ない事からして、想定内なのでそこまで落胆した様子ではない。
どこかに行ってしまったのはついさっきの事なのだし。
「わかるんだ…行方不明ではないです!
なってしまう可能性はありますが…これは誰にでも言えることですね」
「ただちょっと……まあ~……派手な水遊びをした後に元気に出ていってしまわれまして?シャワールームかな~…」
「あ~ピンクの」わかるんだ。
「特には来てないような? まだ行方不明ですか……?」
「おかえりなさいませテン様~~~。
アイ様……が今日亡くなられた方でないのであれば……
ツナちゃん様ですかね?でしたら来ておられません。」
「あ~ え~ ピンクの……ピンクの方多いですねここ!
私と一緒にネクサスさま……なんとかやで~!って喋り方のヒトを
謝罪会見に連行していったヒトです」
妙な説明である。わかるだろうか……?
「ふむ。復活させるのは……
……この調子ですと、資源的に皆々様方全員は厳しい、のではないでしょうか。
一人頭100から200程資源が余るとしても、大凡6人~7人の力を合わせなければいけないでしょう。」
「そして……死ぬとわかっていて死んでいったと予測される方々もいらっしゃいます。
その死を生者の判断で覆してよいのか?という問題もありますからね。」
「コニチハ~」
振られたお手手には手を振り返します。
今居る人数は……出ていった時より少ない……かも?
「アイちゃんさま?」
呼び名にピンとこず。やんわりと説明を求める……。外見とか……。
きたひとに てをふって
ひとさがしには きっといまはすくない にんずうを いっしょに みわたしました
「こんにちはこんばんはロビー!」
「アイちゃんさまは来て……いらっしゃいませんね~?」
ロビーを見渡す。ソファーの裏とか見る。当然居ない。
でていくひとに おてて ひらひら
むりなんて してないわよ?
むりなんて することないの
だって おいのりは たのしいし
だって てんしさまは いらっしゃるから。
「お気をつけて」
その背中を見送る。
人の死に慣れてないとあぁなっちゃうんだなあ。
わたしもあぁしたほうがいいのだろうか。
天使様の言葉を受け、シーツのほうへと視線をやる。
「最終日、……お金をこう……いいかんじに誰かひとりにあつめたら」
「復活させらんないかなあ。みんな」
既に死や刃傷沙汰がある以上、その連携は難しいだろうが。
全ての死が帳消しになれば。どうにかならないか。
「おや、行ってしまわれるのですね……
ずっと固まっていらしたので薄々心配しておりましたが。
ご無事なようで何より。お気遣い、ありがとうございます。」
「貴方様方も、どうかお気を付けて。
危険な立場でしょうからね。」
声を掛けられて。気付いたかな。
声じゃなくて、気配や姿に反応したのかも。
ハッとした様子でそちらを見て、下手くそにわらって。
「あ、あー…」
「すんません、ちょっと…空気、吸ってくるっす」
「…ここの人も、あんま無理しねーでくださいね」
そう言って、ふらり。
ロビーを出ていくだろうか。
「………。フォーミュラ様も生きていらしたら、
この様な気持ちだったのでしょうかね。」
本人以外には不明瞭だろう言葉と共に、床のシーツの方を見ていた。
「……大丈夫ですか?」
放心状態の人に声をかけてみる。
あるいは、落ち着く時間が必要だろうか。
遠目から、になったけど。
途中からはヘッドホンも押さえていたし。会話も殆ど聞いちゃいなかったが。
ここに来て、初めて。
死んだ人間を、目の当たりにして。
「……ぁ…」
ただの人間は、立ち竦んでいる。
人間じゃないものは、手に掛けられたのにね。
ちら、とへびさんのほうを見る。
新たに傷が増えていないならいいが。
血の匂いをさせた来訪客があっても反応は無く、眠っている。
けがを なおした ひとに
くびを かしげてから ぺこり しました。
たいへんそうね たいへんそうね
「おや、かわいそうに……」
怪我しているのかとそちらを見るが、既に処置が終わっているのを確認してほっとする。
「もし金貨に余裕があるなら、今日は警戒しておいたほうがいいのかもしれませんね」
「明日で終わりみたいですし、さらに怪我してもかなしいので」
「ここで一番狙いやすい相手は、誰かを狙っている相手でしょうからね~。
襲ってきた相手から恨みを買い続ける、というのもあるでしょうが。」