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「ニコ…………」
NIKONIKO TIME……
「今日は静かになりましたね~。
天使もエネルギー切れではありますので……
くつろぎながら食事を摂るとします。モグ……」
ソファにぽすんと座っては、今日出てきた白パンを食べている……
「……痛いなぁ……」
「なにすんだよ、もう。誰か知らないけどさ……」
せっせと傷を塞ぐ。少なくとも表面上は、既にすべて処置が終わっている。
にこ……顔ないけど……。
にこにこ にこにこ
ほめられるのは うれしいです
いいこになるのは ただしいです
ずうっといいこに できるのよ
おるすばんも できるのよ
あおいろてんしさまの おことばも わすれないし
きらきらてんしさまの おことばも わすれないの
わたしは ほめてくれた おふたりに しばらく おいのりの てをとめるくらいに にこにこ にこにこ しました。
「偉いですよ~~~、ニコ!」
近くで同じく祈っている天使。
反応の音声部分を担当する。
いつも通りの様子で、安心する。
「……お祈り、えらいですね」
わたしは祈らないが、祈るその子と天使の存在に救われている。
神がいようといまいと、少なくとも祈りが。
わたしを救っているのは確かだ。
しせんを むけられたら
いまは にこにこ かえします
よくわからない、が おわって
おちつきました から
わたしは したい や ちのにおいは へいきなので
よくわからないひとの ほうに つかれたかも です
そして そのまま おいのりします
みなみなー みなみなー
ぺぺーとついていく子に、小さく手を振った。
子供にあまり見せたいものでもないが、へいきなのだろうか……。
あちらはあちらでしんぱい。……こちらもこちらでしんぱい。
ちら、と少女に視線をやるが……顔がないとわかりづらいか。
疲れたり、憔悴した様子がないといいのだが。
「葬儀屋様も誕生日様も、いってらっしゃいませ。ここでは一旦、お疲れ様でした。ミナミナ……」
「おつかれさまです。……お気をつけて」
はたらきもののその背中に、声をかける。
明日は、葬儀屋さんものんびりできるといい。
あと一日。みんな、きっと大丈夫。きっと。
おしごとのひとと ついてくこに てを ふりました
たいへんね たいへんね
ぽえー としてたが
お祈り屋さんが 移動するなら
「いくー」
ぺぺー と着いてく
「……」
しばらくぶつくさ言っていた口を止め、両手を下ろす。
「…プール、だっけ。行かないとね。もうひと仕事、行ってくる。」
でていくひとに てをふりました
なんだったんでしょう ね?
「廊下の皆々様方、いってらっしゃいませ。……」
「ニーリさま ばいばい」
「お気をつけて、……」
ロビーを去る人々を見送る。
「愛さんを弔っていただいて、ありがとうございました」
立ち上がって頭を下げてロビーから出ていく。
てんしさまの おはなしを うんうんと ききました
……やっぱり くびは こてんと なって
やっぱり そのまま おいのり するのでした。
「誰かが旅立つ時、見送りの準備が出来ていることばかりではないですから。そういうお話、ですね。」
側の少女には、そのように。
「……了解だ」
………今日はよく伝言を頼まれるな。
「んじゃ、邪魔したな」
「あと1日だ。お前さんらも、無理なきように」
そうして、その場を去っていくんだろうな。
「死は単なる消滅や終わりというだけではありません。
新たな輪廻への旅立ちでもあり、私もここで、それを祈りますよ。」
「あずき様、余り思い詰めることのありませんよう、……」
知らない ……
何を話してる のか 知らない ……
感情論 よく分からない ……
「……聞こえてたかなあ。おじさま、良ければ伝えてあげてください」
ろうそくさんが そーぎやさんに よるのを みて
わたしも すこし てんしさまに よりました
なにを はなしているのでしょう ね?
「あ。そういえばそうかも」
あのあたりねむかったから覚えてなかったが、言われてみればそういっていたような。
「……すみません。」
「うるさくしてしまいましたよね。ロビーのみなさんは……こんなこと言われても困ります、よね」
「…………」
「弔っていただける、んですよね。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。
そしてまた、ふらふらとした足取りで、去って行くのだろう。
「『ここに居たいと希望したら、帰らなくてもいいのかな』……そうは仰っていましたね。」
あずきさんと愛さんの元から離れると
箱の近くに行くとコインを入れて、
箱の中から白い花を取り出し戻って来る
膝をついて、愛さんに白い花を手向けた
「愛ちゃんさんのことは何も知らないのでなんとも……」
昨日見ていた限りでは、明るい少女だった。それだけだ。
「でも昨日はすごくたのしそうでしたよ」
「ここでの日々に恐怖や不安もあったでしょうけど、きっと、そればかりではなかったはず」
「最後は、楽しくあれたと思います。私の見る限りでは」
「楽しくて、みんなと離れたくなくて、……
ここから出たくなかったのかも、なんて、……ただの推測です」
わたしがそうだから。