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すすす…… とお祈り屋さんにひっついた
この人 ずっとうるさい んだもん
「あずきの。そこまでだ」
紫煙を吐き零した後、大きな溜息と共に。
「結論を急いだ所で空回るだけだ」
「ソレが出来た所で、正しいか間違ってるかも分からねぇ」
「お前は愛の嬢ちゃんじゃねぇんだから」
「現実は無常なもの。」
「どうすればよかったか、という問いの答えは無限です。」
「死という断絶からは、答えさえ返ってくることもない。」
「仕方ないものだと思いますよ。
あずき様が悪いわけでもないし、
愛様が悪いわけでもないでしょう。」
「いきてるうちに きいたほうが」
「よかったんじゃ ない」
「あいちゃんのこと わかるのあいちゃんだけ ……」
「あずきのこと わかるの あずきだけ」
「おなじ」
「あずきに分かるのは、あずきのことだけですから」
「愛ちゃんのこと、わからないんです」
「あずきには、わからないんです」
「教えてください」
「愛ちゃんは何を考えて、どうして死んでしまったんですか?」
「何をしてあげられたんですか?」
「あずきはどうすればよかったんでしょうか?」
「愛ちゃんは本当は何を考えていたんでしょうか?」
「昨日はこんなところで死ぬ訳にいかない。外に出てやりたいことがあるって言ってたんです」
「でも、殺されたと思えない。死ぬつもりで、死ぬ訳にはいかないって言っていたんでしょうか?」
「わかりません……」
「あずきは……どうすればよかったんですか?」
「それだけ いま でるのに」
「どうして しなかった ?」
責めるつもり 無かった
ただ 思った事 言ってた
「じこほしんばかり」
「あいちゃん のこと かんがえてない」
「なのに なくの」
「ズル」
「………」
個人的には、それで協力を得られるのでは?と、
彼女の合理性を信じている部分もあったが……
特別口を挟むこともない。答えがそうならば無言を貫く。
「二人で逃げる」
「手を拘束」
「つ、捕まっていることをのぞ……」
誤解が積まれていく。
「二人で逃げようと言われたのも、断ってしまったから……」
「手を拘束されてるのも見たくないと言われたのに、捕まっていることをあずきが望んでしまったから」
見たことのある者は少ないかもしれないが、昨日まであずきの腕はネクタイで拘束されていた。
今は腕ではなく、右の人差し指に布が巻かれているのみだが。
「あずきの顔も見たくない人、いると思ったから……迷惑かけたくなくて、廊下以外の所いけなくて」
「だから……愛ちゃんが廊下からいなくなっても、探しに行けなくて」
「結果的に、ずっと……冷たい態度を取ってしまったのかも」
「混乱していたのもあって……」
「お話が……できませんでした」
人蛇は布の下に、暗転前と変わらぬ姿で横たわっている。布は乱れておらず、新たな加害はどうやら行われなかったようだ。
静かに息をしている。
視線には気づいている。あえての無視。
人の口に戸は立てられない以上、リスクを増やす必要もない。
あと一日で出られるのだ。何も心配ない。
他愛のないやり取り。天使とのやり取り。楽しそうだった。……ふむ。
「大量に持ってたなら、警戒するのが当然だ」
「それが、こうなってると言うなら」
「………。…死人にゃ口無しだ」
状況証拠。証言。それらを集めて、推測した所で。
それで、どうしたい? どうも出来ない。死人が帰って来る事は無いのだから。
「……」
「出会って数日です。怖くて苦しいことを、受け入れられる程度の関係性の構築が済んでいるとは思えませんよ」
「余裕のある状況や安心できる場所ならともかく、不安まみれのこの場所なんかでは特に……」
「あなたのせいだとは、きっと彼女も言いません」死人に口はない。
言わない方が 良い と思った
首を振る
だって
蛇 に 八つ当たりしたら どうするの
そのお金があれば 生きてたかも しれないのに
「……」
「しんじゃったら はなし できない」
「さきに はなしておけば よかった」
「ちがう ?」
「………」
顔の黒い彼の方へ、ちらりと視線を向けた。
「……あずきがいないと生きていけないと言われました」
「だから一緒に居ようと。あずきは、頷きました」
「だけど、本当は少し怖かったんです……」
「愛ちゃんの『本当にやりたいこと』……ここをでてから、したいこと、の」
「……練習を……手伝って……」
「それが……すごく、怖くて……苦しかったから……」
「どうしたらいいか、混乱していた所があって。気が付いたら愛ちゃんは、廊下からいなくなっていて……」
「そういう……あずきの困惑が、伝わっていて」
「絶望して……しまったのかも…………」
ここで普通に過ごしていた……
他愛のない会話をして
元々怪我をしていたのか?
なにもかもが、わからない
再び唱えながら、周りを見る。
"あのこと"は、言うか?
の目
「ん バースデイかった」
ん ではない
「……金貨はたくさん持っていたはずなんです。
一回や二回刺されたくらいじゃ死なないのは、あずきが一番よく知ってます。
ケガをしてたなら、治せたはずなんです。
複数人で一気に狙われたのなら、分かりませんが……」
「愛ちゃんは……」
「死にたくて死んだのでしょうか」
自らを刺して、死を選んだのではないかと。
状況から考えれば、そういう答えになってしまう。
「……たのしそうだったのにな」
「そちらは何か、心当たりはないのですか?」
逆に問いを返す。何もなくてあんなことはすまいよ。
「あの時は危なかったですね……」
ニーリはますますこんらんした
「天使様が踏まれそうになってましたね」
「……他愛もないやり取りを、穏やかにして過ごしておりましたよ。」
「…………、何をしていたか、ですか。……」
記憶の糸を手繰る。……
思い出すのは、昨日空気清浄機になって近付いてきていたこと、……いや、意味不明過ぎる……。
人間って愚かかもですねえと言っていたこと、……いや……。
しりとりをして負け犬になっていた、駆動音を響かせていた、………。
「天使様となんか……あそんでましたね」
「すごい楽しそうに見えましたが……」
「ふつーに しゃべってた」
一応 秘密 だし
したいが なにをしたか
それに わたしは なにもしません
それに いいこは だまります
ただ ただ
わたしの おいのりを つづけて いました