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きたひとに おててひらひら
しんだのこえに そっと
そーぎやさんが さぎょうを しているほうを ゆびさしました。
「……すみません」
ふらふらと、幽鬼のような顔色で現れる。
「あの、愛ちゃんが……死んだって、本当ですか」
「わかったわ。時間かかるなら後から来いやぁ」
「まあ来た時にはウチおらへんかもしれへんけど」
「伝言も承ったわ」
「ほななぁ」
「?」
懐…… …… ……
死体 きっと 赤くて 傷だらけ
ナイフ で ぐさーっと ばさっと
されてて 痛々しい
いちごジャムみたいに
じー って見てた
ちび じゃないです
「誕生日娘もおったんか。ほんま葬儀屋に懐いとるやんなぁ」
「…あんまちびたちに見せたくない絵面やなぁ…」
「行くよ。葬儀屋だから。ここが終わったらだから時間かかるだから…」
「そうだ、プールの子たちに伝えといて。」
「蘇生薬使う予定ないなら、お別れの言葉を伝えること。花があったら手向けられただろうけど。」
「……疑問に思ってはいたのですよね。
資源が貴重なこの場において、
特別惜しみもせず、実験の為とポンと使うこと。」
「これが彼女の望みであったかはわかりませんが、
本人もわかっていたことでは、あったのかも知れません。」
そーぎやさん おいそがしいの?
そーぎやさん したいにやさしいのね
わたしは じゃまにならなさそうな すみっこで
ようすを みながら
ときおり くるひとに てを ふってます
「プール も ?」
「…… いくー」
ここの お祈り屋さん 見てから
多分 お祈り屋さん に着いてくる
どうせ 他にもみんな
死体を 見に来る から
「その前に。どうやらここにもあるらしいからさ。」
そこにも、ロビーにもあるなら。
死体を確認して、手を合わせて、シーツを被せて、また手を合わせて唱えなきゃ。
とてて……
「いち……」
倉庫の方から一人歩いてくる。状況を見て、知りたい事はしれたからすぐに出ていくだろう。
みけねこさん こんばんは
にこにこ ひらひら
ごあいさつを したのだけど
……おとりこみちゅう かしら?
わたしは いいこなので
わたしには わかりませんので
くびを かしげて そのままです。
「………」
「廊下の蘇生薬ピンク娘か」
「これで2人か。…マジかいな」
「葬儀屋もここおるし。仕事や」
「プールで1人死人が出たんや。ここで仕事したら頼めへんか?」
てこ、てこ。
廊下へと歩む事にしよう。
「……おや」
昨日天使様と戯れていた少女。元気そうに見えたが……。
怪我をしていたなら教えてくれれば治療したのに。
あるいは、今回のが致命傷だったのだろうか。
お祈り屋さん の現場 見るの初めて
ぽぽぽー とお祈り屋さん に寄って
じー としてる
死体 見るのも初めて だった
「ん、はぁい、ここ。」
だらん、両手を挙げる。
「仕事、でしょ。ま、ここだから、シーツにくるんで念仏唱えるしか出来ないけど。」
「……廊下には声かけた方がいいか」
にゃん、という語尾も付け忘れる。
決別したとはいえ、今までで一番、見知った顔。
きっと 坂口愛の 死体はここにある
他は ──知らないが
見つかるの すぐだろう
「…」
ロビーにきて、状況確認。
死者は誰か、どこで、何が起こったか。
…最後にいたのはきっとここだったろう。
「愛にゃん……」
廊下にいた女子高生のうちの一人の遺体、目にして。
「んんー ……」
どうしたら 死 無くなるか
無くならない の 何でだろう
考える けど 難しい ね
「……あれ? えへ」
怪我をしたと、言った覚えはないが。隠し通せるとおもってたので間抜けな声をあげる。
クローンの幾重もの記憶で意識が混濁しており、うっかりしてたとしてもおかしくはない。
自分に対してではないのかもしれないし、あるいはブラフだったかも。
反応してしまい、すぐにすごく雑に笑ってごまかした。こら。
「最後見たのここだった気がするな」
「おい葬儀屋おるか?おったら手ぇ上げぇ」
「たまにはオレもひとりになるっすよ…」
「…今日も、出たんすね……」
この放送にも慣れてきてしまった自分が、少し恐ろしいような。
おいのり してたら あかるく きらきら
いたって きれいな わたしよ。
ちのにおい ふととおって
きにもならない そんなもの!
「バースデイ なんとも ない」
今日も ぴかぴかの無傷 何でかな
周り 見渡せば
死体 あるかも ?
「私も何も。」
「警戒して空振りです。」
軽くなった袋。
600.
ぴく
暗闇 から顔を上げた
「また ……」
「オレは何とも。何度目かの警戒し損。昨日の奴にやられるかと思ったけど。」
「キミは?昨日怪我してたでしょ。」
「……お二人」
は、とため息をつく。ペースが変わらない。
「皆さんお怪我は?」
せっかく買いそろえた医療品だが。役に立つ用事がなければそのほうがいい。