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ふわりとゆれて おててにこたえた
今朝のシーツのとなりにすわって
しずかに ぼんやり……
ふわふわさんに ふわふわ おててを ふりました
おでかけさん みんな かえってくる かしら?
にこにこと手を振り返し、白湯をちびちびのんでいます。ずず。
ふわふわさんも戻ってきたのを見れば、ひらりとおててをふってみます。
ふわふわうろうろ 漂って
またここに戻ってきた
まっくろさんに てをふって
さむさむな くうきを すこしすって おそとはこわいなぁと おもいました。
「ただいまもどりましたー」
さむさむな空気を纏い、暖かい白湯のコップをもった顔無しがロビーにもどってきた。
「……に、ゃ、ァ」
なんとなく?
なんとなく です。
為すべきことを終えた、いつかの時。
ぬるりとやってきて、あるソファーの裏に。
シーツに包まれたもののうち、片方を持って、また出ていった。
気ままな猫のようだったかもしれない。いくらかは猫だしな。
またねを されれば
わたしは またねを しました
おるすばん おるすばん
わたしは ずっと ここにいるからね
また きてくだされば うれしいわ。
女の子に手を振った。またね、という合図だった。
「やっぱりできるだけ生きよう」
水に飛び込むとかよく分からない機械に触るとかではなく。
そう言ってどこかへ行ってしまった。
「……」
おうた、きかれるの、ちょっと、はずかしかった、です、はい
ふと、うたはとまり
「……」
きたひとに てをふりました
ごはんの じかんかしら?
かんづめを みながら おもいました。
「…」
歌が聞こえた。
もう彼は笑えないが元気は出た。
ふらっとこちらに現れた。
プールでは耐えられなかったのだろうか。
手には缶詰があった。
あれ あったような なかったよう、な?
それに なんなのでしょうね
この かんかく は
わたしは くびを かしげました。
「……?」
ほうそう かわったかしら……?
ふわふわさんも いくのね
おはようと おみおくりの てふりをして
……しずかに なったなぁと だれか かえるまで
「……♪」
歌を、口遊むのでした。
がらがらの音に むくりとうごき
ふわふわ 後を追うように
あとにはシーツがのこされる
ふわりと 床にひろがって
かぶせられたシーツは かたちに沿って
ちいさなこどもがそこにある
こんどこそ おみおくりの おててひらひら
てんしさまが いっしょなら
おしごとおしごと
だいじょうぶ ね
「いーよ。送る人いた方がいいもんね。」
あそこで何をしていたのかなんて、知らないけど。
「んじゃ、いってきまーす。」
いってきます。と台車を押して一緒に向かうか
「わわー。是非に」
あの部屋での、様子の違った天使様を思いだしてちょっとだけしんぱいにはなるが。
きっと、今の天使様ならもう大丈夫だろう。歓迎的な声を上げる。
むーちゃんはお留守番かな。ふわふわした子はすやすやだろう。
いってきます。
「ムー様~、今日もお元気そうで何より~。
ウオオ~、では私はまた行ってきますね~。ミナミナ~!」
てんしさまが おきてこられたので
おいのりさきを ちゃんと むけて おいのりしました
みなみなー みなみなー
「おはようございます葬儀屋様!」
「なるほど、安置室……」
腐らないように、ということですね。とは続けず。
「ムム、ムッ、ムッ」
ふらついた様子と大丈夫そうな声との間で悩む間。……
「……でしたら私も……祈りにだけ向かわせて頂きますね。天使としての、務めを致します。」
折衷案。
「おはようございます、いってきまーす」
ほぼ廊下に出てるので、声だけ返事する……もた……。
天使様が手伝いを申し出たところで、遺体はぴったり三名だし。
昨日は戻るのが遅かったようだしお疲れだろうと遠慮することだろう。
「あ、おはよ、天使。」
「死体を安置室に運ぶんだ。」
もたもた、ふらふら、がらがらと台車を押して、行くか。
「……、おはようございま…… おや……」
「……お疲れ様です、いってらっしゃいませ~……!」
「………(遅起き天使、今からでもお手伝いした方がいいか!?の間)」
もたもたを てをふって みおくったのでした
しずかに なったので おいのりを します
みなみなー みなみなー