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「は~~い(裏声)」
虚空ちゃんです。
「虚空ちゃ~ん」
問いかけてみた。
返事はない……。
TIME OF 無……
見ている……二人(?)で……
深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているとはよく言うが
虚空は覗き返してくれるのだろうか?答えはない……。
「…………」
見ている……同じ場所を……
握手の光景を静かに見守りながら、天使の脳内によぎるもの一つ。
暗闇が訪れる前にここへ訪れたもう一人の天使。
少女との抱擁。後のことを託されたこと。……
「いってらっしゃいませ~、ミナミナ~!」
そして、虚空を見ている……ただひたすらに……
虚無ではない。
「誰かの想いを受け継ぐ、なんて、いつでもしてよいことですもんね?」
「はい!また今度!
いってらっしゃいませ、ネクサスさま!」
手を振られれば、手を振り返す。
見送れば、ロビーの出入りはやめ、ソファーに収まった。
「そやな、ボクも伝統なやんて言うたけど、握手は何時でもしてええって思うんや。」
「うん、またしようやテンちゃん!
じゃ、ボクはもう行くで…またこの前みたいに楽しくおしゃべりしようなぁ!」
そう言うと、手を振りながらロビーを後にする。
「死にゆく者だなんて、縁起でもない!」
グッと握られれば、こちらも握り返して。
そうして手と手は、そのまま離れていく。
「でも…誰しもいつ死ぬかはわからないもの、それもまた生き物です!
だから握手って、本当はいつしてもよいことなのでは?」
「そうだといいな~って私は思います!だからまたいつでもしましょう、ネクサスさま!」
「そや!」
ニコニコ笑いながら、グッと握る
「握手はボクの国では《絆のバトン》って呼ばれてるんや。
戦場に…死にゆく者と握手するのが、ボクの国での伝統でな。
こうすることによって、死にゆく者の想いを受け継ぐ…
そんな、伝統なんや」
そっと、手を離した。
「右手を右手で握る……こうでしょうか!」
差し出された右手を握る。
ヒトと同じ体温で、特別力が強くもない、普通のいきものの手をしている。
「本当に賑やか…こんな日が続いていけば良い…のに」
「握手ってのは……手と手を繋ぐってことや。」
「ボクのこの右手を、テンちゃんの右手で握るんや。」
スッと右手を差し出す
喧騒に対してほんの僅かに眉間に皺が寄ったかも。すぐ戻るから問題ない。
いらっしゃいの かたに てをふり
おでかけの かたに てをふり
しめて たくさん たくさん おててを ふってます
「はい!このテン・フカセツ、今日も元気が取り柄です!
ネクサスさまもお元気そうで何よりです!」
「…握手ですか?どうやってすればよいのでしょう」
首を傾ぐ。それは教えられていない概念だった。
「こんには こんにちは こんにちは こここここここ」
バグが広がっている……。
「お、テンちゃんも元気そやね」
「…そうだテンちゃん、ちょっとボクと握手してくれへん?」
「テン様おかえりなさいま テン様おかえりなさま テン テテテテテテテ」
高速出入りにより入室対応音声がバグる!!!!!!!!
「まぁ、そのうちな」
「毎秒訪れますか……」
ロビーの出入り口の敷居の上を高速で往復し、訪問回数を稼いでいる。
無視していい。
「…いいのよ。すっごく心配したけど。
無事なら良かった」
少しほっと落ち着いて
「…あっちにも顔見せてあげてね」
みつけひと? みつかりひと?
にこにこ にこにこ
いつでも ここに きてください ましね
みなみなー みなみなー
「やっぱ天使ちゃんは優しいなぁ。」
「や、アイちゃん
昨日はゴメンなぁ。」
「そんなことはありません!もっと滅茶苦茶来ていいですよ 毎秒1回ずつでも」
「あ」
「なんや、ボクがここに来ちゃ駄目なん?悲しいやん」
「っておるか~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!!!!!」
「うーん、まだどっかで寝とる可能性もあるしな」
「ウチも倉庫戻ってダンボール盾を整えたるか…」
「ほなね」