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もぞ と床で動いて 体を起こす
…… 袋が重たい
欠伸
…… それが、貴方の望む 誰かと共に眠る形なのですね。
…… おやすみなさい。優しい 貴方。
静けさの中に声は足されないまま、思いだけ綴って。やがて寝息の一つになる。
一際ひろく空いてしまった その隣で足をとめ
あのおおきさには到底足りない ちいさなからだを横たえて
そのうち 寝息の ひとつになる……
寝静まったしずかな部屋
すこしだけ がらんとしたそこで たゆたって
「やるとしますか 最強無敵夢王者決定戦を……」
どんなにクソッタレな現実であったとしても。
眠りの縁の、夢見の国までは追っては来られまいよ。
信じる限りは、きっとね。
「クク……ヒエヒエを温めてやりますか……。
外で温もってきた私は無敵……震えず眠りなさい……」
「……ええ。おやすみなさい、テン様。
お互い、良い夢をみてやりましょう。」
「これは最新の研究でわかったことですが、もういい時間ですからね」
「おやすみなさいませ、ミルメコエルさま!」
「ちょっとヒエヒエなのでお言葉に甘えてお得になりますか ス……」
持ち上げられたシーツの隙間に挟まった。
そうしない理由は、特に見付からなかったので。
「それは……睡眠時遊行症の疑いを持って検査しないといけませんね……」
医療的見地からなる判断がくだされた。
今日も、なんでもないやり取りがある。
「どうします?寝言だったら……」
どうするもこうするもない。
こうしていつも通りの顔触れが揃っている日々が、いつまで続くかはわからないが……
今は、確かにここにある。
それは変わることのない真実だ。
「そして早速ですが……
私も寝るといたします……スス……。」
少女が寝ているだろうソファにぽすんと座り、シーツも掛ける。
「おふたがたもね、寒くても寒くなくても、同じ場所で寝て下さってよいですよ……
一緒の場所で寝られるなら一緒の方がお得かも知れませんからね~ お得……」
シーツを少し持ち上げて、そんなことを言ってから。
「それでは、おやすみなさいませ。……ミナミナ、………」
「おや、おきてらした~……(究極・小声)」
「テン様もふわふわ様も御機嫌よう……。」
「……ふふ。戻ってきたら
皆々様方がいらっしゃるというのは、
……嬉しいものですね……。」
わずかに震えた空気をとらえ
ねぎらうように ゆらりとゆれる……
「おかえりなさいませ~……(真・小声)」
ロビーはすっかり寝静まっている。
起き出してくる者が居なければ、きっと。
もういい時間だ。これもじきに寝付くだろう。
「……ただいまもどりました~(超・小声)」
「流石に寝ちゃってますよね、お留守番お疲れ様でした……。」
耐えられない事に罪はない。
短い時間であっても、共に過ごした者の死は、悲しい。辛い。苦しい。
それは、あなたたちの心が正常に動作している証拠で。
捨てちゃならないものだろう。
私は耐えられるからやる。
それだけだ。
いずれ気付いてしまうなら、いいだろう。
追い詰められた人々に、わざわざ、残酷な現実を、突き付けなくったって。
それを決めるのは、これではないが。
けれど、そうしてくれとも頼まれてはいないのだ。
「おやすみなさ~い……(逆寝起きドッキリ)」
ずいぶん冷えた手をさすりながら、ロビーに入る。室内を見渡す。
今、ここに居る人々は、都合よく寝静まっている。
だれかの遺した上着とナイフは、余ったシーツで包んで。
いつかの時、だれかの隠れていたソファーの裏に。
結局、穏当な行き場はこれくらいしか思い付かなかった。
シーツを暴けば、持ち主の結末は、察せてしまうかもしれないが。
そもそもの話、この限られた空間で、ひとの死を悟らせないなんてのは、土台無理な話だ。
探しても探しても見付からなければ、そういうことだ。
何れは事実を目の当たりにはせずとも、察しが付くだろう。
これまでに姿を消した者達がそうであるように。
ねむ……ねむ……
きづけば なんだか すやぁ……
おる、すばん、できるの、よう……
おやすみなさい
緑髪 あずきかな
あずきが泣いてた ……子だ
蛇の死体は 朝から見てない
から そういう事かなって 思ってる
言わない 関係ないから
「はな かー」
「いい おみずも みどりも ないもんね ……」
「かおなし のひともいる し」
「すぐおわる ……」
もにゃ もにゃ
暫く 何事か 話して
すやすや 眠ってしまった ろう
既に少女は頑張ったようだし、葬儀屋さんもお疲れだろうし。
自分一人でやろうと思っていたのだけど……
どうやら手伝ってくれるっぽいので、今日のところはわたしもねちゃお。
「ではわたしも。……おやすみなさい」
余命もあとわずかのようだし、もう少し話していたいけど。
ねむけにはさからえぬ。シーツを被り、横になる。すや。
きっとみんな、本来は別の世界の人々だったので。
ここで出会えて、話せてうれしかった。
「バイバイ。お元気で。」
なんて、手を振りながら、ソファに寝転がって、意識を沈めた。
身体動いているのは、奇跡なんだろうな。
どうか、明日の仕事でも、動きますように。
「そ、花を売る。ここじゃあ花の一本すら生えてないから、見れないね。」
物騒とは程遠い、植物だから。
「…そうだね。確か、あの緑髪の子のともだちのもあるもんね。隣に並べとかなきゃ。」
あの時確認した。少し幻覚は観たけど。
「あらら、おねむの時間か。…そうだね。少し休んでから運ぼうか。」
これがきっと、最後の仕事になる。
生きてれば また会う
…… ……
…… ……
「そだねー」
ふにゃ と寝ぼけ眼で 笑った
「おやすみなさいかな……おつかれさま」
お手伝いをした少女をねぎらう。ゆっくり休めるといい。
「えぇ、またね」
手をふって、青年を見送った。
「じゃあ、オレ見に来ただけなんで行くっすね」
「生きてるなら、また会うこともあると思うんで」
その時はよろしくっす、と頭下げて。
眠たい子の邪魔をしないように戻っていこうかな。
「わーい ……」
「おはなやさん って おはなうりやさん ?」
そこから 実は ピンときてない
お花 見分けもつかないな ……
「んー ざんねん ……」
「でも つぎからは らくちん」
「はこんだほうが いーとおもう」
「けど あしたでも いいかなって」
「ねむくて ……」
ぐんにょり してきた
「了解っす」
「そろそろ戻ってくる気がするんで、待ってるっすよ」
忠告にも感謝。気を遣わせてばかりだなあ。
「やったー」
最初のわたしはお花がだいすき。この怪物もお花がすき。
素直に喜んだ。とってもうれしい……。
「あら……葬儀屋さんのほうが早かったか。流石……」
ざんねん。とはいえ、冷凍室に死体を安置するのは普通によい手だ。
「ここのも運んじゃいますか?」
名前も知らない人々のそれを手で示した。
「良いでしょ。もしも生まれ変わってさ、こういうのとは無縁のだったら買いに来てよ。安くしてあげる。」
実際、来世がどうなるのかなんて、わからない。
ほんのちょっとのあったらいいなのそれ。
「……」
「えー、それ、早く言ってよ。みんなが運ぶ前にしちゃったよ。」
素晴らしい計画だね。効率的で、楽そう。
「あふ …… つかれたから ねにきたんだった ……」
欠伸で 思い出した
ソファに ……よじ登ったら 汚れそうだから
床でいいや とごろん
「まだ かたづけ してるかも」
「あ でも」
「しばらく いかないほーが いいよ」
死体 得意じゃないと思う
ヘッドフォンの 君
多分 もうすぐ 2つあそこで死ぬから