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「ふふ、……わたしもねちゃおうかな」
ごろ。ロビーの隅っこでよこになる。
「みなさまおやすみ」
明日も誰も死なないといい。……できることなら、怪我も。
キャバクラ と呼ばれる倉庫で
眠るのは 果たして 善か ……?
子供には 分からないが
今日はちょっと 眠れそうになく ……
「むぷー ……」
ソファで とろけ気味
もう 眠そう
噂に違わぬキャバクラっぷりだったらしい。
これから益々賑やかになるんでしょう。
夜が更けてからが本番でしょうから。
寝ている蛇を眺め、しばらく考えて
離れた部屋の隅に横になった
「ええー……」
「んー……」
「ここで私も寝るかあ……」
ほっとくのも気が進まないし、
無防備な子供が危ういのも当然だし、
なによりも、人並に善良なので。
「そうこ は」
…… ……
「キャバクラ だから」
せっせと ソファに よじ登り
ごろんちょ ……ごろ ごろ
「おいのりやさん ち いっぱいする ?」
「んー …… おたんじょうびじゃ なくなる ……」
死ぬ はお誕生日と 遠いらしい から
「ねる」
ここで
「人多いほうが安全とは思いますが、眠るには騒がしいかもな……」
腕を組みながら静かに眠る蛇は、
お腹が空いていたら、それこそ無差別に人を襲いそうな。
ロビーのソファを寝床に使えなくなっちゃった。別を当たらないと。
「弱らせて、油断させて、だとすれば」
「狡猾な遣り口ですね。手慣れているというか」
「……え?ここで寝るの?バースデイ」
ぽて…… ぽて ……
「そうこ ひと おおい ……」
本日 虹色大回転日和也
倉庫の ダンボールで寝ていた子供
今日のベッドは ソファに決めた
「おまかせあれ。まぁ怪我しないのが一番ですけどね」
「くれぐれも言動にはお気をつけて……」
こいつのほうがよほど失礼。
でかいすやすやへびさんを一瞥し、無事睡眠が取れているであろうことに内心安堵した。
野生生物は視線に敏感な気がするのでほんのちらっとだけ。ちら。
充分休息が取れれば、失われた血液もそのうち戻ることだろう。
「あはは、ナデシコちゃん頼りになる~もしも怪我しちゃったらお願いしようかな。」
「うん、襲われたけど逃げた。一旦ターゲット変えて油断させておいて、また来るかもって思ってる。」
「理由ははっきり言ってわからないけど、選択肢としてはあり得るかも。」
蜷局を巻いた上に腕組みして、無警戒にすやすや眠っている…ように見える。
会話がなされていても起きる気配はないのでそっとしておいていいだろう。現状、大きめの置物である。舌は出っぱなしだが。
「顔の広い社交的な人が狙われるんですね……」
ミケさんやカルペさんもその印象。
「私は生きますよ。昔から幸運なので」
「怪我をしてしまったら、まぁ、はい、お世話になります……」
「魔術とか、本当に何でもありだと思うから、わかりませんね」
「葬儀屋さんも誰かに襲われたんでしたっけ、昨晩は」
「でも、今日は……ターゲットを変えたのかな」
「勝手を確かめる為か、本当に無差別なのか。……でも、皆で助け合えたらきっと大丈夫ですよ」
「記憶に魔法が関係していることあるかなあーとは思いますけど。くろーんのしくみとかわかってないので魔術的な要素があるのかもしれませんー?」わからん……
「葬儀屋さんも刺されたら治療はまかせてくださいね!」?
「そうですね。まぁ手当ては得意なので……」
どや……。
「シダレさんもくれぐれもお気をつけて」
「生きてさえいてくれれば、治療はいくらでもしますから」
「あ、そっか。魔法の類いとかそっち系ならダメか。よくわかんないけど。ま、現状として痛々しいのを見るの無いことを願いたいね。とか言ってたらオレまた襲われるかも。」
「なら、次も記憶があるとも限らないんでしょう?」
「恐れ知らずは、却って恐ろしいです」
「……お礼を言われるようなことは、べつに」
本当にしていない。
寧ろ、迷惑を多分に掛けた心地すらある。
「……魔法の無効化? 違うか。なんか……世界の法則がちがう……みたいなことを最初の放送で言ってましたね。そのあたりがわやわやなってごちゃなのかも……」語彙。
「痛み。もちろんなければないほうがいいのですが」
「なじみあったらあったで便利なのかもしれません」現になにも怖くないし。
「ありがとうございます。ふふ……」
気遣ってもらえてにこにこしました。
「うーん……くろーんとして生まれた当初はたくさんの記憶は持ってなかったはずなので、何か記憶が流れ込む条件でもあるのかもしれません」
「死んだ記憶とか持ってんの?え、やば。てことは今のキミが死んだら生まれた時に思い出すってことかな。…だとしたら、ちょっとでも良い記憶とかほしいよね。」
「痛みに凄く慣れているんですね」
「痛みに馴染みが無さ過ぎるのも、よくはないけど」
「ナデシコさんは、ナデシコさんなので、居なくならないで欲しいです」
他のあなたは知らないけど。
他のあなたを知らないままがいいので。
「なんというか……なんだろう。死んだ記憶がたくさんあります」
「多分、他の、……くろーん……? の記憶でしょうか」
「わたしだけのんびりしててちょっとずるいですね……」のび……
「……寝床も変えないとかな。比較的、賑やかな場所に」
「……死ぬ事に慣れる、というのは?」
「休息は大事ですから……」のんびりや。
「襲われても別に構いません。痛いことには慣れているのでー」
「死ぬことにも」
「え?そんなに懐の余裕があるの?」
「もしかしてノーガードなんじゃ……」
「ナデシコさんの住んでいた場所と比べたら、まだ気楽なのかも知れませんが」
こんな色の無い場所でも楽観的でいられるのなら、
7日が過ぎるのは逆に惜しかったりするのかな。
「人数が多い場所のほうが、安全かもしれませんね……」
天使様がいないと、ここも随分と静かだ。
「あんまり怖くなったらプールかきゃば? にでもお邪魔しようか」
シャワールームには人がいないので……。