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「………… 痛みは。 そうですね。」
まだ痛む。
こんなことは初めてだ。
「人数は分かりません。嗚呼、襲われたのが私だけだったらどれほど良かったか。」
「もしかしたらそんなに沢山の人に手をかけたのでしょうか。"アレ"は。」
或いは他人を襲う人が複数人も居るというのだろうか。
そんな事実は考えない。考えたくない。
同伴を提案されれば、慌ててスマホに文字を打ち込む。
『やだかつてたことひちつにして』
焦りすぎて全然打ててない。
こうして渋っていたこと、内緒にしててほしい、と。
そういう旨らしい。
「4人……。」
「…………そうですか。」
「…キミ、か。4人のうちか、5人目か。天使なのに死んでないようで良かったよ。天使って痛みとか感じるの?」
「天使様が沢山。いよいよ天国かも知れませんね」
「4人くらいが襲われた、とか聞きましたよ」
「……物凄く嫌そうにしてる。なら、一緒に廊下まで行こうか」
「一応は、私も廊下同盟の一員だからね。顔出しも兼ねて」
余程気まずい現場に遭遇したのかな。
ただ、実際見ない事には定かじゃないし。
「停電、どうだろうね。食料に換わる一定の時に、って言ってた気がするけど。」
「…………というか。」
「どうやらこの感じだと私だけでは無いようですね。」
「襲われた方は。」
「はい。天使ですよ。」
「今なら増量キャンペーン中です。きっと。」
「あぁ~~~連れてかれるぅ~~~~、
先に戻ってる人たちはまたな~~~!!」
手を振りながら連行されていった。
「天使様が増えた……」
「停電、これきりなら良いんですが」
「楽観視が出来ないようにも思えて」
「停電を狙って襲いかかってくるってことは確実かもね。もう4人襲われたことだし。護衛くんも気をつけたまえ~」
面白がられてる……。
実際目にしたら近寄りがたいと思うって!
……多分。
熱、引いてるといいんだけど。
そういえばお節介の、ヘッドホンの彼の姿、
あれから見ていないような。
ひやりとした心配が過って、
彼女らもこんな気持ちなんだろう、と思って。
渋々といった表情は隠せないまま、重い腰を上げるか。
「ほなシャワールームまで連れてったるわ〜」
「ロビーのみんなは一旦またなぁ」
連行。もちろん逃げ出してもいい。
「……嗚呼、停電ですか。」
「たしかにありましたね。どうにかならないものでしょうか。」
──チャリ、チャリ。
相変わらず移動するたびに首輪の音が煩い。
胸に手を当てているけど、もう血は流していない。
「まあ俺も嫌じゃないけどそろそろその……シャワーとか寝る準備はしときたいかな。
次に真っ暗になるまで備えときたいしな、一応護衛?だし」
「分かった! ならプールに戻ってるね!
お騒がせしました!」
ネクサスと一緒に戻る構え。
無事を確認は出来たので。
「一日に一回、停電があるのかな」
「……最低限、逃げる準備はしておかないと、か」
「も〜ちょいしたらアレンはプールに返すで、プールで待っててもええで」
「アレンも嫌やったり眠かったらここで解放するけどな」
夜遅くまで連れまわしているから。
「……なに、なに」
スマホの画面に打ち込まれた文字を眺め見る。
賑やかなのが不得手な人も居るしね。しょうがないよ。それで?
さっき、女の子同士がいい感じになってて ちょっと近寄りがたい ……?
「……ふ。……かなり面白い」
「……でも、そろそろ熱も引いてるん、じゃないかな?」しらないけど
「ひとりでいたい子とか、お節介くんとか。大丈夫だと良いけど。」
「ええ感じなっとったん?確かに仲良さげではあったけどな、話す時おっさんばっかと話とるかも知れへん」
「そうなんや…の気持ちや」
「一度の暗闇で一気に不安になったからね。そりゃ心配になるね。オレも見かけた顔心配する。」
「なんやウチん名前がいつのまにか広まっとんな、名乗ったかな、ええけど」
「人探しの付き合いしてもろてたの言うの忘れとったさかい、ほんま堪忍なぁ」
それはもう、いい感じで──
「今はお取り込み中……かな。
なら、ボクらはプールに戻っといた方が良いかな……?」
「女の子同士が良い感じ?どゆこと?」
それほど心配されているのは、
取り乱したところを見せたせいだろう。
それは素直に申し訳なく……。