……サラダは普通に旨いな。ラインナップの中でも高級品なだけあるらしい。ちょっと機嫌が持ち直した。

「グミとかじゃねえだけマシか〜……………」
できたら梅とか…　ごま塩だけでもいいんだけど…　中身が思ってたのと違ったらしく苦戦しながら食っている。そもそも手作りっぽいおにぎりである時点でやや拒否反応があり…

「あ゛〜ッ変な時間に目ぇ覚めた」
猫の毛まみれになった衣服を替えてシャワーを浴び、そのままロビー辺りで寝落ちて、四時。これが朝だとしても夕方だとしても起きるには不適当な時間だろうが、また寝付ける気はしない。

椅子に座って机に半身を預けた状態で生活リズムの狂いをぼやぼや嘆いた。

出先で見かけて興味が湧いて、買ってみたはいいものの。

「買ったからといって意味がわかったりはしないんだった……」

なんか悪魔っぽい柄が描かれている。正面から暫しにらめっこ。
やがて栞のように新しい本の間に挟めば、この場を後にした。

「いろいろ増えてる」

確認せず外に出てそのまま眠り続けていたから、知らなかったね。
時計を買い、そういえばとタロットも買い、今更ながら本も買ってみた。

巡回に赴く前に、一度拠点に戻ってきた。
時間はわかった方がよさそうなので、時計を買うついでに新商品の確認を兼ねてショップへ。

（本の盗み見で良い夢が見られなくなってしまうかもしれない…）

（寝入ったのを確認すれば、また本を読み始めた）

「助かるである、切実に……。
　良い夢を～、であるよ～……　……」

寝る前に少しだけ、読んでいる本をチラリと覗き見る。
そして、"人間がハウンドになる現象も確認されている" の一文が目に入り、
……覗き見は寝る前にするべきではなかった……　と後悔しながら寝入っていった。

（見守っている間、エンティティについての本を読んでいる）

「護衛のお役目、果たさせて頂きますわ」
「おやすみなさいませユニネ様。良い夢を」

（恭しく頭を下げる）

「おお……この安心感ッ……！
　二日ぶりの劇毒を経た後だと五臓六腑に染み渡るである……！」

寝袋にもそもそと入り始めた。ウキウキである。

「では～、おやすみであるよ～、ユキセッカ殿～……。」

（時間的にもう眠った人も多いのだろう）
（後ろをついて仮眠室に入れば、あなたの傍に）

「ここにきて災難続きでございましたから、ゆっくりお休みくださいまし」

「ウム　まあまあ静かであるなあ……。」

仮眠室に辿り着けば、寝袋を敷いた。

「……久方ぶりの安心した眠りが、おかげさまで訪れるであるよ、ユキセッカ殿……」

「……貧弱な人ばかりで助かったね……。」

無礼。

「あるものでなんとか……。破れやすい藁紙で型抜きとか？」

「美味しい……？」

神妙な顔。なんとも言えない好みであったらしいな。

「はい、こんばんは」

実家？と聞こえてくる言葉に首をかしげたりした。
ここ生まれなのかな……口に出さぬから伝わらないわけだが。

「イブちゃそやほ～♡」

「寝るみんなはおやす～、また明日～♡」

「お姉さんも失礼するで」
「やっぱり実家でごろごろせんとな……」

「そうだな。要望が通りゃそれでいい、通らなかったら試行錯誤してどうにかすればいい」

「俺もそろそろ寝に行くか。おつかれさん、また後でな」

「あるものだけで色々試行錯誤するのも醍醐味だからなぁ」
「ん、じゃ、俺はこの辺でお暇するよ」