『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「……」
天使と身を寄せ合う。なるべく臆病な心を表に出したくなかった。
「だいじょうぶ……」
隣にあなたがいるから、何度だってそれを感じて、心の内で唱える。
「……御労しい事で御座います、再び息を吹き返したかと思えば……コンテキスト様もさぞ落胆されている事でしょう……何とも酷い話で御座います……。」
何であれ、葬儀を行おうとはしていたのだし、
折角取り戻せた命はまた奪われてしまった。
思い出がある人は特に歯痒い思いをしているだろう。
「御可哀想に……。」
廊下からちょっとモニターを確認しにきた。
なんだか、ずっと放送が流れているな。今はいいや。
一緒になってモニターを眺める。
「あれ、」
「死んでる人、いるんだ」
今日死んだのかな。どうかな。少女は何も知らなかった。
「繭様ぁ゛!」
外傷なく。
あなたがそこにいたのですぐにべそをかいた。
よかった。よかった。怪我もなさそうで、よかった。
「……あぅぅ…?」
アナウンスには怯えた顔を見せた。
もう数刻。迫っている。
プロトコル。
廊下から歩いてきて。
きっと他の人と同じ。周りに目もくれず、モニターに視線を向ける。
ざっと目視で、そこに映された情報を確認していくだろう。
通信機の内容も、今は後回し。
「……」
あと数分。分しか聞こえなかった。今が何時か、わかればよかったのに。
資源が現れるとしたら、あそこ。行ってみようかな。
「死人が出ると追加があって… あと少し…?」
食堂に殺到する人々は多そうかもな、とソファ上で腹這いに転がりながら独り言。行く気はない。面倒だ。
「……結局コトリ様は私めの記憶の中でございますね」
運ばれていく遺体。モニターに表示される資源量。混乱。いろいろあるが、男は第一声はそうだった。
「……通信機から、今……」
猫は耳がいいですから
その小さな『文句』のような、人の言葉を聞きました。
……それから、死者による資源の生産についても。
>>10094
『このプロトコルは8分後、■■時30分に行われます』
「アン……。怪我はない?」
暗闇の中、目が覚めてもその温もりは変わらずあるだろうか。思えば表情は陰りを見せて。
再びその声が聞こえれば、安堵から息を吐く。
外傷はないけれど、わずかに精神的な疲れの色が見えた。
『緊急プロトコルにより追加資源を生産・投入します』
『不具合が三件以上あります。速やかに確認してください』
>>10091
「……ええ、1日目に」
「夜中、みんなが寝静まっていた頃に」
食堂の棚から、ほんの少しだけ取りました。
それでも50ほどですが
「もちろん、気をつけますよ。
猫は警戒心が高いですから」
『追加生産を行い行い行い行い』
『追加生産を行いました』
『直らねぇんだけど?』
「はっ」
繭の子のそばにずっといた。
「はわ」
「はわわ…」
現状把握しようと。
近くの子に目線をやりながら、おろおろしていたことだろう。
「……」
資源がなくて減った体力は、……ふしぎと耐えられる程度だ。それこそ、あと数日なら。
いらないのにな。もう。
「なに。まだ言うことがあるの」
通信機に耳だけ傾ける。何も無いならそれで。
「弱い人間は結局殺されるんだ、弱い人間は弱いから、力のある奴らに殺されるんだ、いつもそう、どこでもそう、どいつもこいつも上に立って威張る奴らが勝っちゃうなんて………」
入り口付近で、うわごとのように呟いている。
『バイタルサインに異常を検知。緊急プロトコルを起動します……』
ザザ、ザ……
ザザザザ……
『死者を確認、資源の追加生産を行います』
『……』
『不具合が三件あります。不具合により、規定量生産できませんでした』
「……お気をつけて」
遺体を連れていく人々を目線だけで見送った。
ぞろぞろと、ついて行っても迷惑だろう。
死体に用があるわけでもない。
>>10048 猫
「へえ〜? なら泥棒か!」
言いがかり、決めつけ、勝手なレッテル貼り。揺らした尾で貴方を指し示す。
「マこっからはしっかり警戒することだな… あー眠…」
面白そうに口笛吹いて、また欠伸。霊安室には行かないつもりだ。弔いの場に墓荒らしは不要だろうから。
ザザ、ザ……
「……考えることが多すぎます」「だから」
「ゆっくり考えましょう」「まずは、目の前のことから」
小さな声。皆に語りかけるには、小さすぎるか。
目線を見たらこれはついていこうとするだろうな。