『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「た、食べられてはいない筈ですよ!?多分。」
「むか~し、言い伝えで。
知らずに怪我を負った御子に触った人達が、具合を悪くしたり、死んでしまった事があるらしくて。
それで今まで伝わってるんです。」
「まさか傷を舐める人が居るとは思わず……
思い出せて良かったかも?」
>>9545 オモロス
「いや別にどっちでもお」
いいみたい。角があるだけの人間…と言うには蹄やら長めの尾やら真っ黒に濁った爪やらの身体的特徴のズレが多く、一方で悪魔であると声高に主張する気もないらしい。
この人数だとソファは埋まり気味か? のそ…っと入ってきて壁際でヤンキー座りになった。見た目の治安はかなり不審寄りかも。
「ようこそ~いらっしゃ~い
君は角人間クン~?それとも悪魔~~~?」
ソファに背からだらりと身体を垂らしながら、首を傾げて聞いている。
距離は保たれており、無視してもよい。
「毒ホモサピエンスはね、毒のあるホモサピエンスだよ~」
「血に毒がある……」
はて。そんなことを気にする理由とは。知っている理由とは。
常日頃から傷跡舐め人間への対策をしているわけでもないなら。
「きみの一族、食べられたことでもあったの?」
そうじゃないといいな、と思いながら。
「よ〜すウオッ人多」
話題に上がっていた人を食べる方のやつも高らかに蹄鳴らして廊下側から歩いてきたな。かなり賑わっている様子にやや気が引けているのか遠巻きにしている。
「主語が小さくて述語が大きいですね……」
「万物か、世界の宝かはともかく。癒してくれるものだとは思います」
「小さくて可愛くて暖かいですから」
「悪魔だったらもっと悪魔!ってするからさあ~~~」
「お~~おそろいじゃ~~ん 糖分で生きる仲間~~」
ガリゴリゴリゴリゴリ……
「角生えてるけど人間クンがいるの?」「じゃあ三悪魔かあ」
「わ~~ 僕といっしょ!」「僕は金平糖が出てくるよ~」
資源袋から取り出してボリ……。した。
傷を舐めたいから毎日手術してるんじゃないかな……。
思っても口には出さなかった。勘弁して欲しそうだったので。
「猫」「可愛いですからね、気持ちは分かります。俺も好きです」
「……人生は数奇らしいですから。撫でれて、良かったですね」
「オレはね~死体は食わないかな~。
食事はこんなカンジだし~」
懐から取り出した氷砂糖を口に放り込めば、ガリガリと噛み砕く。
「三、四悪魔はちょっと多いなあ……
それって角生えてる人間クンを悪魔換算してたりしない?」
「オイコラーーーーッッ!!!!」
「てか!!そんな異常性癖者が毎日手術出来るわけないだろ!!」
そろそろ勘弁しろぉ!!って悲鳴。哀れだね………♥️
「悪魔はねえ、君よりでっかいのがいたよお。死体を食べたがってた」「きみも食べる方の悪魔?」
失礼がすぎる。相手が悪魔だからって……
「……というか、三人……四人?くらい居るよね」
「縄張りがそれぞれ違うのかな」
「いやいや、そう強く否定せずとも分かっているさ」
「自分の欲しいものが目の前にあっても、決して触れられない悲しみというものはね……」
「身体によくないと分かっていても……人間、好きな物に触れたい気持ちはあるものさ」
理解者ヅラしてとことん追い打ちをかけている。
人型の悪魔もいたんですね。
「しないししたことないって言ってるだろがーーーーっっ!!!!!!」
おお、哀れ。彼女が死んだら止める人いなくなるから尾ひれ背ヒレつきそう。
抱えられ、時折耳がぴょこっと元気そうに動いています。
「猫はのんびりするのが好きです」
猫は気まぐれですから。
自分のペースで出来ることが好きなのでしょう。
「そんな否定しなくても大丈夫ですよ……俺は分かってますからね……」
「健康を害することのないようにだけ気をつけて下さい。細菌観戦とかありますから」
何も分かっていない。