『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「……霊安室にあった死体がここに運ばれていたら、誰かが違和に気づくでしょう」
「生き返ったってことがバレて、また殺されるかもしれません」
「俺は運ばないほうが良いと思います」
「さあ。まあ、気分は良くないだろうが………また死体に戻る可能性も………なきにしもあらずだからな。………まあ、ここに連れてきた方がいいってんなら連れてくるが………どうする?」
今度は簡単、人を運べば良いのだから。
霊安室から戻ってきた。
死体と準死体に囲まれていたくなかったし、他に行くところもなかったし。
それに、ここのモニターなら薬が効いたか確実にわかる。
……壊れていなければ。
「……まだわかんないな、脳は生きてても身体が動くかは。
案外、植物状態まで復帰させるだけだったりしてね」
白色に戻った文字。少なくともいま、"死んではいない"らしい。
「死体に囲まれて起きるのってどんな感じなんだろうね……」
「………聞きたいことが山盛りあるんだ、本人が現れてくれなきゃ困るね………。」
モニターを見て、気がついたらしい。
はてさて、どうなるのか。その命は有限か、はたまた、無限か。
アルカンシエルはコトリに蘇生薬をおくった
猫は撫でられています。
手が動く度、しっぽが少し揺れたりしていて。
「いっそ事、猫は人間を嫌いになれたら良かったのですが」
独り言傍ら、零してしまったように口から出て。
>>9433
「何も感じられなければよかったんだがね、生憎そうもいかないのさ」
「……つくづくキミのことが苦手だよ、僕は。」
手を振られればそのままそっぽを向くだろう。
落としてしまった分、何か平和な話でもしたいが………正直今は話題が見つからない。
「………話というのは難しいね…」
いやまあ、いっそのこと周りからよりもこちらにヘイトが向いた方が、他人を生かすにはちょうど良いのだけれど。
「…………。はぁ……」
ため息をひとつ。
蘇生にリソースを回すのは迂遠な自殺行為だと頭では理解している。
ただ、それでも……目の前の惨状に、冷え切った他者との距離に。
どうしても寂しさを覚えずにはいられないのだ。
「……ハハ、困ったものだね」
そう言って隣の猫をなでる。
手慰みに、自分を慰めて。
>>9428
「おう、死んても何も思うなよ」
好都合だ。だってようやく死ねるのに。
「まあアンタから恨まれてそうだけど。
その言い方じゃ刺してこなさそうだしなァ」
この話は終わりだと手を振った。
>>9420
「正直言って、キミの事は苦手なんだが……」
視線を逸らす。
例え思考が合わずとも、心情に理解が及ばずとも。思う事はただひとつ。
「……下手に恨みを買って死んだりするなよ。キミなんかで感傷に浸りたくないからな」
やれやれ。今日は買わなくても良いヘイトを買ってしまった。
今夜は__警戒せざるを得ないだろうな。
なんて。女は、周りの話を聞きながら今夜の事を決めていた。
「……ふむ、やはり皆さん色々思う事はあるようでして」
一滴の雫。
疑念の言葉をひろげれば、波紋は広がるように。
何処までもそれは影響し合い、箱の中で反響する。
「ま、私は資源はほとんどございませんので、
残念ながら蘇生薬のチップは渡せませんが」
「皆様がなされたい、とお考えであれば止めませんよ、ええ。
そうしたい、と考えるのも仕方ないですからね」