『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
>>8812
「あぁ。そうだね………。」
新しく繋がった縁。
繋げたままで居られるかもわからないこの縁。
せめて、ここに居るときぐらいは、もう少し大切にしようかな。
「あら。………耳が良いのも、大変だな……。」
たぶん、どうせまた長々と変なことを話してでも居たのだろうと。彼の話はとても長いから。
そのまま手元でしばらくヨーヨーをぐりぐりしたり、またそのまま遊んだりしていたけれど。
妙に心がざわついて、とてもじゃないがこれ以上続ける気は起きなかった。
しばらく黙っていたけれど、やれやれと行ったように目を閉じて。
………これは、饒舌なあいつ、なんかやりおったな。
「聞く方も大変だね、ありゃ。」
「……尚更、良いじゃないですか」
「ここで出来た縁。大事にして下さいね」
ヨーヨーが続くならば、それをただじっと眺めていただろう。
倒れ込んだ人には首を垂れようとして……やめて、言葉も出さなかった。
「……ふぅ」
猫にしては珍しく、少し大きなため息が漏れ出ました。
ヨーヨーを眺めていますが
どうにも前のように興味は湧かないようで
「………そうみたい。貰ったのは、ここにきてからなんだけどね。」
そう思うと、まだまだこの命も捨てたもんじゃない気もしてくる。
ロビーに来た彼は………そっとしておいてあげた方がいいかな。
そうして、もう少し飽きるまで、しばらくはまだヨーヨーをしているだろう。
シャーッ コッ シャーッ コッ………
ロビーに来て早々空いてるソファ吸い込まれるよう倒れ込んだ。
此処に来て落ち着かせるのもおかしいな。
悪いもん見たわけじゃないのにな、こんなんじゃ失礼だ。
「貰った」「……うん、」
「貰える相手がいるんですね」
良いことです、と小さく頷いて。
登り降りを猫さんとぼんやり眺めている。
相変わらずヨーヨーは上下運動を繰り返しています。
見違えるほどになったかも。
しばらくして気がついたようだけど………今は、黙って迎える体勢みたい。
そうして静かにヨーヨーの音だけがしている。
「うん、貰った。」
貰ったのか、貸して貰っているのか、そこんとこは曖昧ですが………そんな感じです。
そこの自販機に売ってました。
貰った時は全く出来なかったのが、今ではヨーヨーがきれいに紐を登り降りしています。
「……」「ヨーヨーですか」
ヨーヨーだ……。シャカシャコされているそれをぼんやり見ている。
一方のこっちは手持ち無沙汰。縮こまったままの体制。
横になってしばらく。やっぱり眠気が来ない。
「………アドレナリンでも出てんのかな………」
正直、実を言えば久しぶりにご遺体と対面したのだ。
その上、命がなくなったモノも、これまた久しぶりにこの手に抱えて。
………そりゃあまあ、いろんな意味で寝れないよなと。
諦めのため息を1つ。
「………」
ヨーヨーでもしようかな。おもむろに白衣のポケットから取り出してシャカシャコし始めた。
「ヴン……」
そろそろ寝ようかな〜なんて思って、ソファに体を横にしてみる。
まだそんなに眠気は襲っても来ない。…いつまでのんびり起きてようか、悩みどころ。
「そういうもんか…?」
臭いが…?
そういうもんなのか…?まあ…いいなら…いいか…
ついでに薬品の匂いもしているから雰囲気は抜群かも。
「はは、」「ヤッター伝説、来るかもしれませんね」
「でもこういうのは日の目を浴びないと誰も分からないですから」
「勝ちが明白になるまで、頑張って下さいね」
逃げるなぁ。
ぶっちゃけ陣しててもやられる人はやられてたし、多分そっちじゃなくって、そも狙われんようにするしかないんだろうなぁって。
いやどうするかはマジ知らんけども。アタシちゃん目立ち方しかしらん……。
「そ、そうでしょうか……?あ、あぁ、祈ることしか出来なくて、役立たずとなってしまいましたけどね。」
「……やりたいことは…今ここで見つかるかはわかりませんが、盲目でもある程度逃げられるようには、なりたいですね。…ふふ」
ひとまず、休息を取ろう。
つか、お医者さんの白衣からヤバ匂いするのかっこよくね?
なんかこう、熟練感ない?つまりチョーかっこいいんじゃね?
つまり、っぱアルコールもったいねなぁ!
「あっ、あのモニターの……入江 ラララさん、ですか」
「は、い」「その」「可愛い名前だと思います。多分……」
元気元気、ですね……とは自嘲気味の笑顔で。へへ。