『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
今日はなんだか静かだな…昨日はなんかすんごい賑やかだった覚えがあったから。
いやでも今日も停電が終わったらまた賑やかになるかもしれないな…なんて。
「……これだけ時間が長いと感じるのは久しぶりだな…。」
どうやら医者の体内時計はギリギリ定刻を刻み続けているらしい。多分、機能的には明日ぐらいからはズレ始めるやも知らないが…。
「……ハァ…頼むから…みんな無事で居てくれよ…。」
ため息をつきながら、若干体勢を変えてソファに再び座り直す。
警戒…しているらしい。昨日はあのザマだったからね。
「しっかしまぁ、こんな所に集められて主催は何がしたいんでしょうねえ……」
「っと、そろそろっすか?」
灰髪は、変わらず壁際に居る。
「扉どころか窓やバンケットの幕まで固く閉ざされている始末だ」
「少なくともこちら側から開けるのは一筋縄では行かなさそうだね」
やれやれ、と呟いてソファに身体を預ける。
そろそろ停電する頃合いだろうか。
まあ、正直誰か見つけてたらもう話題に上がってそうだし…見えないところにあるんだろう…。」
ため息。できることも、何もなしか…。
「ハァ…あ、いや…そういえば…まだ消えてないってことは…そろそろだっけか?停電…。」
「あ〜、スタッフルーム……たしかにそういやそれっぽいとこありそうなのに見つからね〜な、それこそ宿泊客範囲?的な?」
「中庭が裏口なのはヤバじゃね?」
「ホテルなら、そういう裏の道があってもいいとは思いますが」
「……中庭にあるのでしょうか」
中庭なら鍵もかかっていましたし
よく見れていないはず。
……入る手段はと言われたら、弱いのですが
「あぁ…待って、そういえば食堂に開かないドアがあったっけ…。」
まあ、あるとすればその奥だな…なんて思っていたが…まあ、開かないということは、入れてもらえないのだろう。
「ガスメーター」「確かに、そういうのが使えれば温かいシャワーが浴びられそうですが」
「……食堂に備え付けられているキッチンでもガスは使えなかったので、無いかと思います」
ソファを解体するためのナイフが……とは呟き。
シスターの格好をした人を見ればぺこ、と頭を下げていた。
「そういや…ふと思ったんだけど…。ここ…スタッフルームみたいなさ…。裏方への道って…どこにもなくね…?」
いや、ただ単にカーテンや幕の裏なんかにあったりするだけであるのかもしれないが…少なくとも今までそんな道は見たことないな、と。
「ガスメーターとかあるなら…裏方だよな。でも…ないってことはまあ…あっても誰も入れない、んだろうな…。」
「……また、来るのですか。」
祈る手を止める。
目は見えずとも、会話で理解する。
「起きてしまったことを悔やんでも過去は戻りません。」
「祈っても終わらないことはわかります。」
「…せめて、今日はここで何も起こらないことを祈りましょう。」
「いっその事、お湯が出る機械みたいなのを探した方が早いのではないでしょうか」
「ガスメーターみたいな」
猫はそこらにあまり詳しくはありませんが。
とはいえ、見つかっていないのならもう無いも同然かもしれません。
そもそも、ここの備品って切れるのか…?なんか…変な感じだけど…傷つけられないような…そんな気がするような空間だった気がする…。
「…なんか、やっぱ気持ち悪いな、ここ」
「バンケットの方はおそらく立ち飲み系だったはずだから…テーブルクロスなんかはなかった気もするねぇ…」
舞台の幕はあったが…どっちにしろナイフは必要そう。
「ま、そんな尖ってる部分なんかあったら何されるかわからんしな…」
普通のホテルでも多分そうじゃないかな?という感想。
まあ、あのツノの生えた人は確かナイフ持ってたし…きたら借りれるかも。
「せめてキッチンがあれば、……」
包丁とかありそ~とは思ったが。
衛生的にやらんほうがいいだろうしなあ、と思い、あとなんか配慮して口にしなかった。
「ま〜、ちぎれりゃ便利だけど、そういう時に限ってなんかいい感じのものってねぇよな〜…」
「まあワンチャンバンケットのテーブルのヤツもアリでしょ、なんかすげ〜パーティって感じだし、多分デケー布」