『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「シャワー、結構やばかったよ。風邪引くとこだった。タオルもないし………」
あのときは白衣を犠牲に何とか。
「服とか濡らしてからだ拭くのが一番かも。」
「ほいほい、お気をつけて………。」
とりあえず、隣で寝てるのか膝の上なのかの子を見ながら………もうしばらくはそっと撫でているのかも。
「さ、流石にそろそろ疲れてきたかな……」
「一旦抜けさせてもらうよ、綾川さんもありがとうね」
撫でボロス、崩壊──。
そのままプールまで手を洗いに行くようだ。
こいつはというと、おしまいと言われるまで撫で続けるようで。
二人まとめてわしわししている。
頭が空いた時、なんか妙な感覚だな………なんて思っていた。
それが寂しさだと気づくのは、もう少しあとになるのかも。
「そうさな、人とはそういうものだ。それ故に愛おしい。」
「主な力を持たず、故に知恵で差をつけ、社会性を持ち、群れで行動し、他を淘汰してきた。それは自然の摂理に背いてはいない。」
「少なくとも自分は、人間のことを高く評価するべきだと思っている。」
「護るべき信徒だ。」
最後は声が揺れたかのように、聞こえにくい。
「こうして撫で合えるうちが一番平和ってね」
医者を撫でるのにもそのうち飽きて、輪から離れるのだろう。
「どうか次のよるもこうでありますよう」
「あれだな………。アニマルセラピー………」
人間も混ざっているがまあその辺はいいんだろう。
ぎこちなさもちょっとずつ滑らかになってくる。慣れてきたかな。
「……あれすよね。
ふれあい(物理)は精神的に癒しの効果があるとかなんとかは、前どっかのなんかで見聞きした覚えはあるっす」
一定の理解は示す。
「猫も誰か撫でるべきでしょうか……」
これ以上混乱させてどうするんですか。
猫は誰かを撫でようにも、小さいので撫でられる人が限られてしまいます。
「フォッ」
相変わらず変な音を立てて灰髪が覚醒した。
「……」
そして周囲を見渡し、
「え、何すかこの状況……?」
困惑している。さもありなん。
「なでなでの輪が随分と広がってしまったね……」
「喧嘩するよりか余程健全だしいいか……」
空腹も雨音も恐怖も、手と頭に広がる感触が紛らせてくれる。
手慰みに始まった行為が、互いの慰めあいに広がるのは然もありなんだとひとりごつ。
>>6648 レジアール
成程、急所を触られているってのに大きい抵抗は無しと。腹内で何を企んでいるかは置いておいて、貴方から抵抗が無ければ平和な時間だ。
特に他の部位に移りもしないし、乱暴なことも無し。もし誰かがコレを撫でようとしたら、露骨に威嚇して嫌がる、ぐらい。
「別ンとこ撫でられたかったら、また声かけて?」
去り際に囁きが一つ。予定はそのくらい。(背後離脱)
撫でボロスの内輪に入り込む1匹のスズメである。ややこしさに拍車をかけたのはこいつ。
「温いのだな、人の手は。そのまま続けてくれ」
撫でという行為を気に入ったらしく、彼、ないし彼女なりの褒め言葉で、そう零す。
まるで、今まで知らなかったとでも言う口ぶりだ。