『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「あぁ、新歓の人型猿は一見いい人にみえるひともいるから。気をつけてね………。」
初見は誰も信用しちゃダメだよ………なんて付け加える。
「絶対ワケなしの方がいいよ………ワケありとか、ほんと、ろくな人生じゃないから………」
まあ、ワケありばかり集まるのは類友と言うよりかここの性質的な物なのかもしれないが………
「おや、受験生だったのかい?こんな時期に大変だね」
「であれば、僕も先輩として楽しいキャンパスライフについて教えてあげようか」
「高校と比べると放任主義って感じかな。研究機関としての側面もあるしね」
「あと、いろんな場所から人が来てるし、そういう点ではかなり新鮮かな」
「……その分開放的になってる輩も多いんだがね」
「新歓は気をつけたまえよ。あれは人型の猿がいくらか紛れている」
「あー、うん、まあ、結構ワケあり………かな………」
てかそう言えばここ、十代めちゃくちゃ居た気がする。こんな若い子達がこんな巻き込まれていいわけ?!よくないよねえ?!おばさんが全部引き受けられたらよかったのに………なんで未来ある若者たちがこんな事を………
なんて脳内で大騒ぎ。リアルは仏頂面である。
「………………………………………」
「いやあ、そうじゃなくても………警察に怒られるかな、アタシの場合………」
色々あるんだよと言うふうな言い方。
「あぁ、おはよう…。」
「医者なんて常にハードスケジュールだろうしね……」
「7日も空けてしまったら相当なことなんじゃなかろうか」
「……まあそれ以上の事件に僕らは巻き込まれているわけだが」
「上手いこと警察がやってきて全国ニュースになれば色々と免責されると思うのだけれども」
「こんな摩訶不思議な場所じゃ、警察もお手上げかな?」
「(いや、たしかに若いとは思ってたけど思ってたより若っ………?!)」
こいつは黙ってみているだけ………と思ったら、1人で歳の差に恐れていた。JKだ………ッ
「………アタシも、帰ったら………めちゃくちゃ怒られるんだろうな………」
帰れたら、の話だが。まあ、決まったわけでもないのだし、今ぐらいはのんびりしててもバチは当たらないかな。
いやまあ、既に当たってるような物だし………
「例え親に怒られようが、レポートの山に埋もれようが、僕は帰って見せるぞ」
「少なくとも日光と温かいシャワーとベッドが約束されてるのだからね」
「………」「………嫌な予感が当たらなければいいんだが……。」
自動放送をしている機械を見て。まあ、正直かなりよくない気配もするし、杞憂かもしれない。今はまだ決めつける時でもないだろう。
「やあやあ、おはよう。御二方」
「今日でもう3日目になるのかな。早いところこんな場所は出て行ってしまいたいものだ」
「帰ったらレポートの山が出迎えてくれるだろうがね」
「ハァ、なんかそわそわするな………。………今まで二日連続なにもしないで過ごす日なんか、なかったし………」
外科医は忙しい。休みなどあってないようなものだったから、連日の休みのような、そうでないこの日々が珍しいのだろう。
「あー、いや、さっき起きたとこだから…大丈夫……」
「体内時計はまだ朝だって言ってるし………たぶん朝………なんじゃないかな………」
アテにはならない。そもそもここの空間の時間の進み方がこちらと同じともかぎらないのだから。
「朝……なのかな。多分」
「ずっと雨が続いていると、時間感覚が麻痺してしまうね」
「温水がダメなら日光のひとつでも浴びたいんだがね」
愚痴りつつソファから起床。
そもそも、帰れたとて平穏が無いことは確かなのだから、
別にここにいようがいまいが、己の状況はそこまで変わらなかったようにも思える。
ため息が1つずつ増えていった。
「………あ、おはよう……?」
いつの間にかいた。ギャルが。
シャワーを浴びて冷えた身体をソファーに沈めた。
「そーいやこのモニター、ちゃんと見たことなかったなー……」
「え笑 現在地出るってことは、何か埋め込まれてたりする?コレ」
「ハァ、これも後何日続けられるか………」
ボソッと一言もし、本当にアタシの事を殺したい人がいるとするならば、襲った側に特がないとしても今日襲われない保証はどこにもないのだ。
「………ヴン………アーー………いたたたたた………」
女、起床。本日もお体が痛いようで。
ベッドないもの、ソファで寝るしかなくってよ………
いつのまにかソファで寝てしまっていたらしい。
今が朝なのか夜なのか判然としないが、とりあえず起きて祈りの姿勢を取った。
ソファに腰かけて静かに祈っている。