『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「……んあ」
壁に背を預けて座っていた少年が目を覚ます。
うっかり寝落ちしたようで、強張った身体をゆっくり動かしていく。
「………」
ゆっくりと、そちらの隣程まで近づいて
「じゃあ、寝るまでここに居てあげます」
猫は気まぐれですから。
時折こういうこともします
とはいえ、音は無意識で鳴っていたので、ただ隣にいるだけになるかもですが。
「眠れなくて…」
「でも…この音聞いてたら、少し…」
ソファ埋まってるかな?
取り敢えず適当な壁に寄りかかって…音を聞きながら寝ようとしている
「! 寝てるやつ多いならシャワー空いてるか」
多分そう。確かめに行かないとわからないことだけども。寝る人々が多いようなら一度離れようかな。おやすみ〜。
「うんん、そろそろ限界だな…寝るか………。おやすみ君たち………。」
ソファにごろんと横になって丸まって。ソファに埋まって、寝てしまおうかな
「ま、静かなとこだとやなこと考えまくるのは結構みんな共通っぽい?まあ、それなら寝るまでお喋りしとくか~」
まあ、そろそろ目蓋も重くなってきたし、眠ってしまいそうだけど………
「昼行性たち…」
起き出した時間に次々と寝に入って行かれると僅かな寂しさがあるものです。仕方ないけど。
バキバキと空の水ボトルを縮めて…これどこに捨てればいいやつ?もうどっかに纏まってる? なんかそこらへんを見渡してゴミ置き場とかがあればそこに投げとこ。
「爆音イビキでも爆睡できるやついるし………あんま得策じゃないんじゃないかね………」
停電したら、電子ロックは安全のために鍵が開くように設計されているはずだ。
それが今回は仇となって仕舞っているのだが。
「ここで寝息をバチクソ高らかに立てたら部屋を独り占めできる……?」
「個室にいた子も襲われちゃったそうなんだよね。
停電でロックが壊れるんだとか。
閉じ込められるよりマシかな〜」
「さて………アタシもそろそろ寝ようか…な……」
夜更かししたさもある。なんか、もう短い命なのだろうし。なんか楽しめるとこ楽しんどきたいって言うか。いやまあこんな状況で楽しめることって言えば会話ぐらいだけど。
今は自己紹介魔人(失礼)もいないし、静かな寝息と雨の音がきこえているのかしら。
「なるほど〜」
自分で話題を振っといて返しが雑! あんまり言及して自己紹介を求められるのが嫌なのかも。
停電時の諸々で摂取タイミングを逃した水のボトルを取り出し、…蓋を開けるところまでは人間同様に手で、それから器用に尾に受け渡して口に運んだ。ぬる〜い。
「せめて段ボールでもありゃ簡易ベッド作れたろうが………そんなもん置いてねえしな………。」
そんなハイテクなもんはここにはなかった。キレイキレイされてた。
「個室の床、三十路女にはかってえんだわ………だからここのソファでアタシは寝るよ………」
何人かそう言う人もいるのかもしれないし、人の声を聞きながらでしか寝れない人もいるのかも。
「なんで個室で寝ねえんだかね」
自分を思い切り棚に上げて顎を撫でた。
「あ〜電子ロックならあ、停電だと開く…?」
個室に居て襲撃を免れることが出来るならみんなそうするだろうし、なんかセキュリティ面に問題あるんだろうな。弄った感じ回数制限とかなさそうだったからしらみつぶしに入力していけば暗証ワードもヒットしそうだし…
「………バンケット………宴会場か。」
「あー、まあそうだな。人が減ったのもあるが。」
大分静かなのかも。いろんなソファで人も何人か寝ています。
「 あ〜〜〜 夜…?」
ソファ寝落ち数時間を経て、辺りのザワザワがややトーンダウン気味になってきたところで起きた。大欠伸と大伸び。
「じこしょうかいのやつまだやってんだ…?」
寝る前と寝た後で話題が変わっていないか…? ひょっとして数分しか寝てない…?とぼやぼや訝しんでいる。
「確かに。自己紹介にしても初歩的すぎましたか!
お互いを知れるような交友会を設けることも検討しておきます!
会社にいたときを思い出さないとですね!」
そう言うセリフを残してようやく去っていった。