『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「皆様、停電は大丈夫でしたでしょうか!とりあえず停電までに覚えた名前をモニターと照らし合わせると……16名!これは……ほど遠いでございますね!
もっと自己紹介効率を高めなけ……おや皆様浮かない顔しておりませんか?」
この男、停電の時に何が発生したのか把握していない。
「正直言って、助かるか助からないかは今んとこ五分五分だろうよ。なんせほんと、アタシらはここの放送の事しかわからなくて他何もわからんワケだからさ。」
相変わらずのびのびとしている。まあ、こんな無防備そうにしていたんだから、襲われるのも無理ないだろう………
「たぶん………資源供給の方は機械のエラーっぽい。これはたぶん誰のせいでもないよ。」
「ならどうして私たちはここに閉じ込められたのですか………皆さん心当たりないんですよね………もう、……もう…………そんなの…………」
身体を縮こまらせた。
「……えっ?」
理解するのに暫し時間が掛かった。
「なん、なんで?
だって皆さん…誰かを襲う理由も必要も、ないでしょう?」
「資源…食べ物とかも、どんどん無くなっていく?
それも誰かがやったの?」
「きっとこの雨がすっごく危険で、殺人鬼よりも致死性が高いのかも!」
「だから助けに行けないし、不具合……?も直せない」
「でも大丈夫。雨粒ちゃんたちはみんな助かるよ」
「だって雨は必ず上がるんだから!」
「………見ろ、襲われた。今夜から資源の奪い合いもとい………殺し合い開幕ってワケ。………用心しろよあんたも。」
包帯を軽く見せつつ。
「さっきも言ったが、どうやら資源の供給源がやられたらしい。こっからは今みんなにあるものでやりくりしないとたぶん………」
そう言いかけて、口を閉じた。
とりま晴れたら分かんべ。
晴れてくれたら大体どうにかなる。
具体的には低気圧から開放された最強のアタシが降臨して全てを解決する。多分。
「う、疑いたくはないのですが……私たち、本当に助けられるのでしょうか………だ、だだ、だって…襲う人たちがいるのに助けが来ない時点で、おかしいじゃないですか………私たちが殺されるのなら………」
「……途絶えた、んだ。…じゃあ、無駄遣いしたな。」
何のことを指しているかは本人のみぞ知る。
少なくとも、誰かを治療していたことは無い。
助けも快晴もまだだなぁ。
とりあえず晴れならん?それかこの建物を低気圧対策装備せん?そろそろアタシ以外も低気圧にやられんべ。
ため息をつきながら、相変わらずソファでくつろいでいます。緊張感のない女。でも多少怪我したみたいで………ただくつろいでいるだけではないようです。
「それに………資源の供給源も途絶えたくさいし。さて、どうなることやら……って感じ。」
「助けはまだ。ドアの解錠もまだ。通信機も『あと7日』って言ってるよお」
「もしかしたらまだ1日も経ってなかったりしてね」
あぁ。ちょみっとでもくれたら頭痛薬増えたのに。
考えるだけで頭痛が痛いぜ。
つか、雨音こんなうるさいのにほんとなんでみんな頭痛くなってないんだ。頑丈極まるぜ。
「ま、今こんな状況で実験だとか言ってられんけどな。正直。」
副作用は気になる。正直めっちゃ気になる。けどそんなもん買ったら資源もごっそりなくなっちゃうしな………
「腹が減ってはなんとやら~だね、アタシもちびちび食うか………。」
もそ………
「あは」「保証なんてないよ、なんにだって!」
「僕なんてもう蘇生薬、買えないし」
誰かを襲わなければ。だから被検体でも探すような口調なのだった。
「ばいば~い」「また会うときまで元気でね」