『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「あ、」「いや」「良いことあったわけじゃないです」
「……ただ、」「自分に出来ること」「したいこと」「分かっただけなので」
へへ……(自嘲気味の笑み)
べえ、とヤそうな顔。
お前にはもういるだろ。
「話すんならそこのオトモダチにしてろ、
イカれ女」
貫けよ。誰もお前の死を悲しまない。
「……。」
何となく、綾川の傍に寄る。
こんな状況にも関わらず、何時ぞやかの時のように、頭を差し出す。
こんな状況だ、断っても良い。叩いたっていい。
「……気を付けて行くんだぞ」
「少しでも危険を感じたら引き返していい、絶対に無理はするなよ」
「……落ちたら吸いに追いかけるからな」
こんな見た目をしているけれど、怪我はあんまりない
「……後は、困窮具合……二人と同じく私も手持ちは持ってないけど、
ずっと休憩していたから……。アンに守って、もらっていたから」
「…何をするにしても、根拠は無いようなものだ。こんなところにいるんだし。」
「ただ、何かが見える方に行ってるだけだ、私たちは。」
きっと、最後だし。…やりたい事でもやる勢いで、ね。と。
リューイチめっちゃ咳ゴホじゃんよ~。
大丈夫?ナイフる?
いやちょっと振れるか自信ないけども……。
(ナイフ持ったまま言わないの)
「はいはい、怪我人はじっとしておのものだよ」
「リンゴのひとつでもあれば剥いてあげたい所なんだがね」
「ま、他の方法で労うしかなさそうだ」
想像して、少しお腹がなったりしたとか。
「……落ちる、か。」
「何処に落ちるか、何処で落ちたかは知らないが……」
「後を追ったところで、確実に落ちた先に居るとは限らないだろうに」
どこまでも冷静に、それでいて何処かダルそうに呟く。
「…ああ。その時はその時だ。…私たちも、そっちに行く努力をするから。」
行くのなら、いってらっしゃいと、軽く手を振って見送る姿勢になるだろう。
落ちれたら良いねぇ。
でもさ、駄目としても、頑張った後ならやり切った感でて良い感じになる気がするんだ~。
努力って、手足が動くから出来るんだしな。
「なら、猫が行きましょうか」
猫は特に怪我もしていませんし
至って健康体そのものですから。
「……向かってる途中に落ちたらすみません」
念の為。
「……歩き回って探すのは非効率…なようだね…。」
「何か他にないものか…決まった行動を取れば落ちるとかの…情報が…」
「む…ありがとう…。」
大丈夫だと言いたかったが。
無茶をしたせいで本来の傷よりも、裂けて大きくなってしまっていたらしいから、断ることもできなかった。
「誰かが調査に行くのなら、僕がここで綾川さんを診ていよう」
「……さんざんお世話になったみたいだしね。少しは返さないと罰が当たるというものさ」
手当をした時点で、彼女の状態が芳しくないのはよく分かっていた。
ただ、それだけでもないが。
まあ、若干安心しろし。
死んでもラララちゃんが先に居るゾ。
マブずと先に死後の世界現地調査して教えてやっからな。
いや、それがヤだから落ちたいのは分かるんだけどそれはそれ。
「末路がわかっている所よりも、まだ希望がありそうなところに行く方がいい、と、私は考えている。…多分、みんなの意見が一致したのもそういうことだと。」
食堂、か…。今は誰がいるんだろう。モニターの方をふっと見て。
「………」
行きたい、と思ったけれど。残念ながら傷はまだ塞がっていないから、医者は、できれば安静にしておいた方が良さそうだった。
「そうか。前触れもなく突然、いなくなったと」
「…………この空間は完結しているらしいしな、きっと見つける手立てはあるはず、さ」
息も絶え絶えな様子に、少し心配でしたが
それでも情報はありがたく
「……夜草さんは、確か。食堂……でしたよね」
落ちたところ。
食堂によく居た人達なら、何か知っているでしょうか