『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「とりあえずまあ…みんな…1週間よろしく…」
この女の声は、深く暗く、抑揚があまりない。結構聞き分けやすい…のかもしれない。
「……ススグ」
ここまで行くと名乗らない方が不自然だろう。
しぶしぶといった感じで己の名を告げる。
人の声に紛れて聞き逃されたならそれはそれで。
「そしてアルカンシエル様」
「……ああ、一方的に名を知られるのも好ましくはないでしょう。わたくしめはユウガオと申します。どうぞ良ければ覚えてくださいましね。」
「ローゼン様、綾川様、鷹宮様!」
モニターを見ながら、照合する。
「ええ、確認いたしました。7日間、よろしくお願いいたします!」
「別にアタシの名前なんて覚えなくたっていいよ。白衣の人〜とか、なんか適当にそれっぽいので呼んでくれりゃいいよ…。」
目を泳がせて。
うう、名前、いうべきじゃなかったかも…
「まァ〜〜支援とか、してくれんだろ、
ドリ〜ムさんがサァ。」
「逆に言うとおり雨に打たれるか?
それこそこえーよなあ、なーぁ」
「まー手ぇ取り合えばなんとかなるぜ、ヒヒッ
ジェグだぁ、覚えてなくていーぞ?」
「僕はアルカンシエル。虹のひとしずく、星を追い掛けるもの」
「そして君たちが雨粒ちゃん。そらからもたらされた恵みのひとつひとつ」
寝惚け眼擦りながら、辺りを見回します。
声の大きな雨粒に、獣の耳の生えた雨粒。
ぶうん、と唸る謎の機械、
開かないドアにぱたぱた当たる雨の雫。
「だいじょうぶ。雨も夜もこわくないよ」
「だって僕がいるから!」
「そ、そうですよね……そんな器の小さなやつなんていないですよね………不安要素が多くて取り乱すこともしてしまいますよね……あぁ、名乗り…自己紹介ですね………と言っても、私は目が見えておりませんので声で判別するしかないと言いますか……」
「うわ、律儀~~~~~~~」
あ、皆ちゃんと自己紹介する感じなんだ。
派手野郎に神父サマに…と、名乗ってく奴の面を拝んでいく。
自分は、どうしようかねぇ。
>>1533
「邪魔なんて、思ってませんから」
「むしろこっちが邪魔でしたら言ってください」
猫はどこでも寝れますから。
色んな種族がいるこんなとこじゃ
猫なんてのは酷く矮小で、小さな存在。
「今ばかりは、そこまで踏み込む必要はございません。
ただ、名前だけでよいのです!モニターのどの名前が自分であるのか、口ずさむだけ!
お互い閉じ込められているであろう合間、互いに認識できるだけの姿と名前。
その最低限の共同生活に必要な第1歩は……」
「んん……うるっさいなぁ雨粒ちゃん。
そんなに騒がなくたって」
「雨は上がる……上がる、そう、いつか虹がかかるんだよ。僕はそのためにいるんだもん」
「七日後。七日後に晴れるんだね?天気予報さんもそう言ってるんだから、雨粒ちゃんたちは怯えなくてもへーき」
「それとも……怯えていたいのかな?」
「あ〜これ…名乗っといた方が…いい感じ…?アタシは…あれ、あの…真ん中よりちょっと下…綾川 遥希って…奴ね…」
とりあえずまあ、しとくに越したことはないかなあ、なんて考えて、名を名乗ってみる。
「ふふ、こちらの皆様は静かな声がお望みの様で」
「確かに、何日かいずれにせよ共に過ごす仲でございましょう」
「名乗った方が心が落ち着くのであれば名乗りましょう」
「私はローゼン・ハイデンと申します。
しがない神父でございますがどうぞよろしくお願いしますね」