『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
……ん?また増えたん。
うーん。食堂でやってたらアタシも争奪戦参加出来たんだが……。
んで、取っちゃった人に返せたんだけどなぁ。
悪い人とか居たん?
ウケる。まあ、キラーいっぱい居たもんね。そのどれかは悪い人って怖がられるか。
(アタシらは大丈夫だけどなと、長身の男と、紫陽花のモノの手を振らせて遊んでる)
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
「…っあ、まってっ…!」
伸ばした手は、届かなかった。
「…………そう、だね…。」
貴女の涙を、そっと拭いながら。
…ねえ、もう、悪い人は居なくなってしまったよ。
「……………あめ、やまないねぇ」
何気なくこぼしたその言葉と同時に、左の目尻から薄く光る筋がひとつ。
きっと心の奥底で理解したのだろう。
もう、帰れないんだと。
「……っ、すみません」
「猫、ちょっと見てきます!」
身軽な猫は貴方達の手を抜けて行くでしょうか。
そのまま、走って中庭の方へと
流石になー。二人超待ってるのは分かるが、雨死なんてそんな酷い事させないでほしい。
また暗くなったら全力で動くか。したらお腹も良い感じに裂けるでしょ。
「追加資源……っ?」
モニター……は、………………
「あれ、あの人……さっきまで……」
そこに映るのは、変わらずの『赤い文字』
それと同タイミングの、扉の音
そして……追加資源。
「……当たる人がいそうです」「当たった場合も気になります」
「俺は少々、中庭の方に行っていますね」
誰も彼も気になるだろうからさ。カウンターから出て、中庭へ。
「……雨、に、当たれるって、ことか?」
避けてと言われたものにあたりに行ける。
…行く人は居そうだし、事の顛末はその人たちに聞けばいいか、と。
今は、まだ2人の身体に手を置いている。
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
うわぁびっくりした。停電また来たかと思った。
(黙っていれば何をしてるかと思えば、自身に付いた血を舐めているまで)
(あまいあまい、果実みたいね)
「っ!」
「今の音……、『中庭』……?」
猫は耳がいいですから
少し落ち着きを取り戻したあとなら、しっかりと聞き取れていました
どこかで「ガタン」という音がした
悪い知らせはそれだけじゃない。
最初の恩人。繭に包まれた私を助けてくれた人。
自棄になった織さんを強く叱咤していた姿を覚えている。
その命を示す赤をぼんやりと見つめて。
「心中は、流石に、初めてだなあ〜……」
逃げられないか。そうか。虫籠に雑多に放り込むだけ放り込んで忘れるなんてどのガキでもやるようなことだけども、虫側になるのは、快くはない、なあ。
からん、と握っていたナイフが落ちた。血に濡れてはいない。体に傷も増えてはいないが、…寒いなあ…