『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
同じ放送が繰り返され始めた……
そうだぞ。後悔しても遅いぞ。
アタシの傷も加減してやがったなこれは。
どう思うよ、ねー?
(紫陽花のような死体に話しかけ頬擦りすれば、首からの血に塗れている)
『次の[快晴]は計測不能です。』
「ぅ……んぇ…………」
周囲の動揺までは流石に濾し切れないようで。
不安そうに、不機嫌そうに顔を歪ませる。
親指をしゃぶりながら抱かれたあなたに身を寄せる。
耳障りな高音が、不明などこかで大きく鳴った
「……はは、ふは、」
「ふっはは!!!」
「そうならさっさとみんなお迎えしてあげれば良かったな!!!」
やけに煩い声がこだまする。
そりゃなぁ。
人に頼りきりにするから失敗するんじゃんね。
動けるんだから、動けばよかったのにな。
(ねーと。長身の死体と顔を見合わせる)
『空間に異常があります』
『雨が降っています』
『次の[快晴]は計測不能です。』
『空間に異常があります。』
『不具合が計測不能件あります。』
『緊急プロトコルを起動できません。』
『外部通信ができません。アクセスポイントが存在しません』
『空間に異常があります』
『生産プロセスに異常を検知』
『こちらは自動放送です。DREAMより皆様へ』
……ふふふ。
やっぱさぁ?好きな人の血って甘いんだって。
どっかで知ったけど、ほんとなんだねぇ。
(マブだったものと腕組みしながら、ちろちろと手についた血を舐めている)
これ毎回やって記憶飛ばしてたとか、ここまでの停電中のアタシマジズルない?
『――――――音声ログ[約一年前の日付]、<b>144:00:00の再生を終了します』</b>
「……なァるほどな!」
小さく笑った。そうか。
ここで生きていてもいいのか!
あの地獄に、戻らなくていいのか!!
「……そうかァ……」
『次の[快晴]の計算ができません』
『エラー、不具合が■件』
『エラー、エラー、エラー、エラー、』
[徐々に音がミュートされていく]
「なんで。」
「神父様来てくれるって言ってたのに。なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
「裏切り者!!!!」
[二回目の液体音]
[硬い機械が地面に落下する音]
[駆ける足音]
[ごぽごぽという音]
[多くの液体がばしゃりと地面に落ちる音]
『嫌だ、いやだだしてだしてだしてだしてだ』
[重い扉が開く音]
[雨の音が大きくなる]
『あ、おい、待て!!』
[狂乱する声と走る音]
『嫌だ、嫌だ、いや、嫌だぁ!!!!』