『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「自己紹介」
情報のインパクトがでかい。そういえば、死んだと聞いた人が生き返ってるな。
「とんでもない騒動なのは……来る前から分かっていましたが」
人間関係のこじれかな。
悪魔は密かにそこにいた。
場の喧騒を遠巻き、と言うよりは遠くから観戦し続けている。
どうやら省エネ悪魔モードらしい。
「………?」
そして、モニターを見ていたから気が付いた。
「観測不能~……?」
「俺ァうそついた記憶ねーぞー。
最初からこうだったろ、なァ?」
死体に慣れてることだって、
修羅場を知ってることだって、
今は誰も襲ってないのも
本当なのにさ
「とんでもねえ騒動の中だよ今。なるはやで戻った方がいいんじゃねえかな。」
新たに来た貴方へ一言。
長居するのは恐らく、いろんな意味で良くないだろう。
「それは知ってる、結局のところ馬鹿が全て壊すのはな」
「だからマブとかほざいてたワケだしな」
「へ〜?嘘つきばっかじゃん、ひで〜場所」
「まあ、それはそうですね。この日々が楽しくなかったら、こんなことしてませんから」
看取りたい、見守りたいっていうのも、別に嘘じゃない。タガがちょっとばかし、外れただけで。まさか親友がそうっていうのは、想定外だったけど。
「………というか、お前、人に呼ばれていたのをお忘れじゃないか?」
「もうずいぶんさっきだったと思うんだが。」
カラフルな頭の男へ。
彼、首を長くして待っているんじゃないかと言いたげな顔で。
………ため息。
でもここの騒動に入って、空気を悪くしたのは僕だ。
「……探偵、柳沢 草朔(ヤナギザワ ソウサク)。
日本出身の高校生。
此処に来てからは断片的な記憶喪失でした。
まだ治ってませんが良くはなりました。
資源数は600、すこぶる元気です」
スイッチを押した。
「…………すいませんでした」
殺人鬼じゃない、周りに向けて。
「スズメ様は初めて名前をお伺いしましたね!残り30時間が本当であればですが、よろしくお願いいたします!」
「そして、レジアール様の別の名前も了解いたしました!コードネーム……!なにかのエージェントなのでしょうか?」
え、レジアール違うの?
レジたんとか言おうとしてたのに。
いや、つかなんでこのタイムがちょっと有意義になっちゃったんだよ。
「……。する必要なんてなかったな。私はいつか死ぬのだろうし。」
我に返り、思い出したかのように言う。
自己紹介、なんて意味が無い行動なのだろう。
「まあいいか、減るものでも無い。私の代わりだって、いつでも居る」