『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「……そういや思ったんすけど」
「未来人の人がいて、過去の俺らがいて」
「この“今”進んでる時間って、同じじゃないすか。
でも、未来の人からすると“過去”を進んでるかもしれなくて、過去の俺らは“未来”を進んでいて……」
「…………や、やっぱなんでもねっす。小難しい事考えるのは性にあわねっす笑」
「大体は虚像、そうだな〜嘘にまみれた綺麗事」
やけに落ち着いたトーンで言った
「あ、良かった〜、そこそこ普通の日仲間じゃーん、セフセフ〜」
若干の失礼だ……
「ある意味イベント当日よりも悲しいぜ〜?産まれた日よりも、そっちに気を向けられる、的な〜?」
「いいっすねー白衣の姐さん。それくらいの誕生日に、俺もなりたかったっす……」
羨望。誕生日に憧れ抱いてどうすんだって話ではあるが、はい。
「確かに夜草様に提示した希望は、もしかすると損をするプランなのかもしれません。
ですが、こちらに縋るほうがきっと、前を向けます。
綺麗事に縋っていけないなんて、誰が決めました?誰も未来を証明できないのであれば、何を言ってもいい。
たとえそのあとに絶望があったとしてもその時その時は綺麗ごとを見ればいいんです!
責任とは要相談であり、私めの誕生日は7月2日でございます!」
こっちが何月だったかはあんまり覚えていない。
寒くはなかった気がする………いや、寒いのか?
とにかく忙しかったことしか思い出せん………
「……完全な現実は無理で、」「どこかで理想が混じる」
「言葉は不明瞭で未完成」「…………」
正しいんだろうなぁ。耳をそばだてながら、思っている。
「やはり来たところからによって、年月も異なるのですね」
「猫のところは……冬だったはずですから。
雪は降りませんでしたが」
「人は生まれてから死ぬまで、現実の度合いがどうあれ虚像しか見れない。
虚像とは夢であり、希望であり、妄想であり、色眼鏡であり、綺麗ごとなんです。
常になにかしら綺麗ごとを見ているのなら、人は偽りを受け入れるべきなんです。
そして、生きられるように自分自身の認知を変えるんです」
「ん〜今何月だっけな、そいやカレンダー見てなかったから覚えてね〜な〜」
時間、冬かと思ったけど冬ではない可能性もあるな…と安心
「俺ー?2月の13、大体チョコの話題に持ってかれる運のない生まれだぜ〜?
1日違えば良かったのによ〜?」
「っすー?俺んとこは12月の何日かだった気がするっすね」
「カレンダーありゃ良かったんすけど」
「加齢一歩手前ーてきな感じだったんで、まぁまぁ」
帰ったら祝って貰えるかな、と思っている。
「逆に、いっぱい付けちゃおっかな……♡♡♡♡♡」
ぽしょ……♡♡♡
カウンター側の攻防。引っ掻かれても文句は言うまい。
「ですが、完全な現実を言葉で伝えるのは無理です。人は現実を完全に直視することは不可能だ。
どこかで、最低1%"自分の都合の良い解釈"で見てしまう。だから、直視ができない。
100%の現実なんて、誰も見たことがないから証明しようがない」
「あ〜、よく言う奴か、小分けはめんどっちいからガッチャコーンの合体、的な〜?」
「七夕といい、皆はスゲーキリのいい日に生まれてんの、中々に良いな〜って思うぜ〜
俺とかはキリ悪りぃ〜からよ〜」
「…………クリスマス?」
あれ、今日何日でしたっけ────
猫は何かを勘づいてきましたが、確証がないので黙っています。
「どっちですか。
♡つけるのやめてください」
辛辣かもしれません。
死ぬ気は無いようです
「まあ、チョコだけでもないけどな。言葉はナイフにもなるし。それこそパンとかさ。」
色々代替も思い付く。それぐらいに言葉というものは変幻自在で。