『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「そして、偉い誰かが決めたらしい!これらの技術が運用されることで未来は破滅する!生んでしまったことは、罪であると!
だから未来を生むよりも、その時点から歴史を逆行してしまおう!それが人類としての贖いであると!
西暦に続く紀年法、贖暦が運用されていったんです。つまるところ、多分私めは皆様にとっての未来人でございます」
「んあぁ………なんだ、低気圧かねえ………」
流石に何日も晒されていたら健常者だって辛いものがあるだろうと。
今日はそういう日なのかもしれない。
「冷たい熱で動くエンジン、誰にでも日本語の読み書きを容易く覚えさせてしまう教育方法、二次性徴期に浴び続けていれば骨が確実に発達する周波数、快楽や報復で動く造り物のAI、人間の意識を移植できるゲーム機、一般家庭でも扱える別時間軸で動く量子、禁止されてる国は多いですが完璧な人間のスペアの量産……そういった特異点が、生まれてしまいました。」→
「ふぁあ………いててて………」
少ししか寝ていない、そしてマッサージのお陰か、からだの痛みは朝起きるときよりはマシのようで、普通にからだを起こしていた。
「んむ」
目が覚めたらしい。
「………さて、一体なんの話をしているんだ………」
起き抜けから頭の痛くなるような長い語りが聞こえてきた。
>>13179
「ふむ……私めの世界の長話を聞いていただければでございますが」
「私めの現代は、国によって程度がどうあれ人類は在り方を"巻き戻していく"ことといたしました。
ある年を境に人類の様々な技術が特異点を起こしてしまったからです」
そうして、皆にも聞こえるように全体に向けて喋り始める。
「最後に何を食べたい?」「ぼくはねえ、……」
押し黙る人々。まだ話す声は聞こえるだろうか。
通信機がうるさいから、静寂はないけれど。
ここで得られる最低限の静けさを、今は守っている。
「……」「それでも、ですよ」
話題の提起者が誰であれ、なんて意図。
葬式の有無。心変わりかななんて思考で耳を澄ましている。
「あ、おー、流石にもうしないんだなー、アレ」
これはわざとらしく。しない理由は昨日の動機でだいたい分かったし。する必要も、そりゃ無いよな、と思いながら
「(さて、"空っぽ"というワタシの真意でも虚偽でもある言葉を受け取っていってくれただろうか。
名前を教えてくれなかった時点でこちらに拒絶を示したが、ロビーのソファにいるくらいだ。
"少なからず交友関係がある"。空っぽな状態とは違う。
分かったクチだと見られるか、影響を及ぼすか)」
>>13162
「そっか、見守る、か……
……あ〜、良かった、俺もその素敵な友人、であれてさ」
普段なマブ、という所を友人と。
「ありがとな、こんな奴でもそう思ってくれるのが、凄く嬉しい」
小声で
「ああ、その点であればもう私めから葬儀はいたしませんのでご安心ください!」
「あなたはもう、空っぽではないからです。ではまた会いましょう~」
そういってラオヤを動かず見送る。
「いえ、お気になさらず」
「元はと言えば話題を出したのは猫ですから」
謝る必要なんてないのに。なんて思っていたりしたのでしょう。
「俺は弔われたくないからさ」
「遺書にも葬儀は近親者のみで、って書いてあるし」
この場に男の近親者はいない。つまりやるな、という事だ。
そもそもこの男は労られたり悔やまれたり、そういった事をされるのが嫌いなのだ。
さて、喫煙所にでも行こう。
「気持ちの良い話題じゃない」「……なら、」
「これ以上、聞かない方が良いですよね」「すいません」
好奇心で聞いてしまっていた。小さく謝辞の動作をして。
「あ、」「……行ってらっしゃい」
「どうかお気をつけて」
去る人には声をかけ、ぺこ、と一礼を。
「ふぁ………。………寝ると言っても、あまり時間はなさそうかな………」
のんびり。
さっきからのことを思い出していた。
一方的に好いてる、なんて言われたが………それは違う、ちゃんと話してみて聞いてくれた人達のことを好いていないわけもないのだし。
………あとでなんか言われたら言ってやろ。なんて。
そのままソファに寝直した。
「へ〜……」
誰かのものじゃないならいいや。
僕のじゃないし、そうする予定もない。
「帰る場所があるんだな〜……」
犬にとってはここが定位置だから。
そんな感じで他の部屋にも住み着いた人間はいるのだろうな。
>>13129
「わたくしは此処で、色々な人を見守り、看取ることが出来れば、まあ本望かなと……」
それ以外にない。遺したい言葉もない。
「新しく素敵な友達や知り合いが、たくさん出来ましたからね」
あなたの約束もあるし。
「………お気をつけて。」
いってらっしゃい~、なんて今日は声をかけてみたり。
そのままソファにいるまやま見送りをしただろう。
「お好きにすれば良いと思います」
また煙草でも吸いに行くのかと、猫は密かに思っていました。
「……はい、行ってらっしゃい」
お見送りをしますが、
……やはりしっぽは不安げで。
「おや、お話は終わりでございますか……てっきり葬儀についてもコメントをくださると思いましたが……
隔たりを感じるな。喪主が自分であることを確認したから、おそらく葬儀という行為だかが一人歩きしていた可能性もあるか」
「……どうにも、世間話する気分になれないな」
「悪いが、少し散歩でもしてくるよ」
立ち上がってゆっくりと歩みを進める。
カウンターの方にはあえて視線を寄越さずに。
あまり、不安にさせたくないから。