『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「……まあ…多分、各々のタイミングでいいかと………。」
彼との話が終わったかどうかはわからないが………話があるならまあ、また別のところででもしてきそうだと思ったわけで。
「…………」
「俺帰って良さげかな」
喪主の特定もできたし、遺書を書き終えている男にとっては乗れない話題だ。
緩慢な仕草で立ち上がる。
「間が悪い。……遺言と、猫さんの年齢」
「……いつ死ぬか、分かりませんからね。遺言、大事です」
瞳を伏せて。挨拶の声と教えてくれた人にペコペコと頭を下げて。
「野良といえば野良で、家猫と言えば家猫」
「野良ではあったけど誰かに可愛がられてた、みたいな……?」
「三日後か……あ〜、だからこそ、確実に、なのか
まあ、確かにそりゃ間に合わないの方向で考えるのが楽だな〜」
「あ、ノイちおっはおっは〜、今はな、猫っちの年齢とかどんな猫だったんだろうか聞いたり、あとなんか色々してっとこだぜ〜」
御子……だとか、前に話していたような気も。
心配はしていましたが……、まさかそうなるとは。
「正直微妙なラインでして。
野良っちゃ野良なんですけど……家猫といえば家猫で……」
「そのようなキノコは存じ上げませんが……夜草様は3日後に変質してしまうのですか。
だから外の時間が違って脱出後に誕生日を迎えられたとしても、ですか……そして夜草様がこう言っている以上は変化が起きていて、この空間内部の時間はちゃんと流れていると。なるほど……」
「しかし、まだチャンスがあるのではないですか?確か、アナウンスは6日のままから3日に短縮した……と誰かが仰っている気がしました。
じゃあ、3日!つまるところ72時間以内に<b>救助するまでの時間が残り1日に縮む可能性は?</b
「ん、」「あ……おはよう、ございます」
「……年齢とかのお話中、でしょうか……?」
ソファで寝ていた少年。ゆっくりと起き上がり。
「うぃうぃ、気ぃつけてな〜?気をつけて、とは言いつつも…考えられると良いな?」
見送りつつ
「猫は……年齢も自由な把握具合なのか…」
?
「わかんないか〜〜」
可愛いなあもう……みたいな顔になった。
「大丈夫……ちゃんと虹を架けるから。その色で思い出して」
「ああでも、ここにはもう一人虹色がいるねえ。ついでに思い出していいよ」
「雨があがったら……うぃ、りょーかい、青い空を見ながら思い出せそーなら思い出すわ」
「ん、レジちは無いんだな〜…………あ〜………けど、うん、そーだなー…走りきれるようにな〜」
かなり意地悪な事を特に頼んでるし、そうぽそりと呟こうかな
「しっかり思い出してあげますよ。
忘れる気もありませんが」
「………………え、何歳でしょうか」
なんと猫は把握してません。
何歳かはわかっていませんが、そこそこには若いはず。
はず……………………
「…もう一回説明しておいた方が良い?」
コンテキストさんも、そう言えば詳細を言ってなかったっけと。
「ナナヨタケ…もしくは一夜茸って知っていますか?
最後に溶けて消えてしまうキノコです。」
「私、救助に来るらしい三日後には、溶けて黒い液体になっているので……
何にしても脱出は出来ないんですよ。」
「………虹、か。………思い出せる切っ掛けがあるのはいいな。」
私は職業柄、みんなが病院に行くたび思い出しちゃうかもな、なんて。
「僕より長生きできるじゃん、……」
「……えっ。猫ちゃんいま何歳?」
口振りから家猫ではなさそう……だから野良の、一桁?
ここで一番若そうだ。