『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「さぁ、実際幾つあるのかはしりませんね」
「……猫は野良で3から4年ほど。
家猫でも、10年そこらの命です」
「9つ全部寿命を迎えられたとしても
対して生きることはできません」
>>13112
「ああ。………みっともなくたって、生きてくれればそれだけで十分だよ。」
まあ、もちろん耐えられなくなっても怒らないし、出来る範囲でいいけどね、なんて。
「わたくしは遺言はないですね」
どうあってもあんまり後悔はしないつもりだ。
「ああでも、道半ばになったらそれは後悔になるかも……」
「墨?のことはよく分からないが……聞き入れよう」
「やれやれ、こうも背負うものが増えた以上、おいそれとは死ねないな」
「……そう、生きないと、な」
「………生き残れば、私はまたそれを聞く機会は多いだろうから。よくよく思い出すよ。」
何せ、その毒に犯されて搬送されてくるからね。
「猫ちゃんには生きててほしいなあ……。
でも、猫の寿命って短いんだっけ」
「九つもあるんだから、僕らよりずっと先に行けるんじゃない?」
>>13102
「…………。」
「わかった……約束、だ」
「その分、泣くときはみっともなくやってやるからな。覚悟しとけよ」
全力で痛みにのたうち回りながら、生きる。
それは、こんな場所に来て彼女が決めたこと。
人らしさを見失わないこと。
「ん、……あ〜」
そういえば、溶ける、なんて言っていたか。
「残ってくもんがあるなら幸運だな、その残ったもので思い出してくれ、か。
りょーかいりょーかい〜」
「生きれるところまで生きて、かぁ。
承りました」
ペコリと礼をして。
「忘れてほしいと忘れてほしくないは両立する……。
私が悩んでいたことを伝えてもらえた方が、気持ちは伝わるのかな……。
それでも、それで相手を傷つけてしまうのは嫌だし……」
しょもしょも。
こりゃしばらく昼寝は出来ないかもな………と、諦めてソファに座り直した。
>>13100
「ふふ、たすかる。でも泣いたあとはちゃんと前向いて進んでくれよ。」
無責任かもしれないが………なんて。
「……確実に生き残れない私こそ、遺言を遺すべきなのかな。けど。」
遺す言葉なんて無くて、無理に捻り出せばきっと呪いの言葉になる気がする。
「どうせ、墨が残るので……それを私だと思ってくださいね……」
「もし綾川さんが死んだりしたら…………全力で泣き喚いてやるからな」
「……昨日みたいに」
だから、と言葉を続けようとして、やめる。
簡単に口に出せるほど、ここでのその言葉は安くない。
>>13095
「うお、びっくりした。喪主………まあそうだな。主催をしていたと記憶しているが…」
ソファから顔を上げて、そっちを見る。なんかややこしいことになってそうだな、と。
「生きれるだけ生きて、に雨は嫌い、ん、りょーかい」
「忘れて欲しいと忘れて欲しくね〜は両立すんぜ、両方あるってことを伝えられたらまあ、気持ちは通じるだろーしな?」
「ん、出来ればワタちは考えない方が落ち着くんだな。それは希望だぜ、ってか、そーやって生きる意思がある奴が居るのは、すげ〜助かる、そんだけで細い糸が繋がることだってあるしな…」
「生きる気持ちが強いのは良いことだよ。備えも必要だけれど………ただの思いの強さと思っても、意外と力にはなってくれるからね。」
ソファに寝転がったまま。淡々と言葉を並べていく。
「………まあ、もし私が死んだら、みんなは生きれるところまで生きて、というのは変わらないかな。」
>>13075 >>13091
「……お医者さーん?葬儀の喪主ってコイツ?」
コイツ、と無礼に初対面の人間を指差し、沈んだ空気をものともせず医者へ問いかけた。
>>13075
「…………」
貴方の言葉に上体を僅かに起こした。ロビーを見渡した後、再び寝転がる。
「いないよ」
「ていうか、別に対峙するつもりも無いし……」
懐に手を伸ばしかけて、やめた。退屈を感じるとつい煙草に手が伸びる。
そこでふと、思い出した。
→
「僕は……いつもなら嫌だ、と思うはずなんだけどな」
「いざ死ぬかもしれないとなると、備えのひとつもしたくなるか……ハハ、ハ」
「……でも、やっぱり。最後まで生きて伝える役目だって必要だよ」
「そして、多分。そういう人が多い方が、遺言も……もっと正確に伝わると思うし」
「死んだあとに忘れられるのは私もイヤだからね。せめて、君たちは覚えておいてくれると嬉しいが。私なんかのために悲しまないでくれよとは………思うな………。」
色々めんどくさい医者なのであった。